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『のこしたモノ、のこされたモノ』
彼女を亡くした岩本パパの育児のお話。
＿＿＿
«1»
「照、起きて！朝だよ！！」
冬の朝、俺の体は布団を剥ぎ取られ、外気に晒された。
…さみぃ
「…あと5分」
寝ぼけてかすれた声を出して、彼女の持つ布団を引っ張る。
「はい、ダメー」
しかし彼女はそれを許してくれるほどヤワじゃない。
「…はよ、」
「おはよう、照。はい、着替えて着替えて！もう出発する時間だよ！！」
「…あーい」
今日は大切な日だった。
彼女と、俺と、『彼女』の。
«2»
事の始めは、数週間前のこと。
「照、相談があるんだけど」
彼女がそう切り出したのが、きっかけだった。
「…子ども、引き取っていい？」
は？
「子ども！？」
「子ども。2歳、女の子。元気で可愛い子だよ」
「え？いやちょっと待って、そうゆうことじゃねぇんだよ」
「…やっぱりいやだよね、」
明らかにしょんぼりとした表情を見せるけど。
えっと、
ちげぇんだって。そういう顔させたい訳じゃなくて、
「嫌っていうか、それはちげぇっていうか、ちがくもないんだけど、…いや、とりあえず何でそうなってんの」
「…お姉ちゃんがね、亡くなったの」
は？という声は、音にはならずに喉に消えていった。
彼女の様子から見て、嘘には見えなかった。
「音信不通の、あのお姉さん？」
「そう。交通事故。飛び出してきた車にぶつかって即死。昨日、お通夜だった」
人は、驚きすぎると声が出ないことを身をもって体感する。
「…お姉ちゃん、子供いたらしくて。誰か引きとんなきゃで、、」
彼女は、薄く笑った。
「私しかいないの」
彼女の家族関係は知っているつもりだった。
過去にいろいろあったことも、親族関係が良くないことも、
彼女は続ける。
「だから、照。別れよっか」
＿＿＿
って続いていく話。
なんやかんやあって引き取ることになって、プロポーズもして、でも引き取ったその日に彼女が交通事故で亡くなる。
原因は、交通事故。
飛び出した“娘”を守るため。
パパ物語が読みたいなぁ、からの、
ちょっと複雑にしちゃえ！っていう安易な発想。
血が繋がっていない父娘に絆は生まれるのか。
しかも、娘は仕方ないとはいえ彼女の犠牲のうえの存在。
憎悪の中に生まれる愛情
名前の設定をどっちがどっちにしようかが悩みどころ。
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作者名：午前12:00 | 作成日時：2022年10月2日 23時
