･ ページ34
．
出会いは最低だった。
ターゲットを追ってカフェに入って、端でパソコンを叩いている最中。
手がひんやりとした。
いや、ひんやりどころじゃない。
ビシャビシャになっていた。
見上げれば、トレーを持つ女の子。
メガネをかけて少し野暮ったい感じの。
「ああっ！！すいません！！つまづいちゃって、ほんとにすいません！」
早口で紡がれる言葉にイラッとしてれば、目の前のパソコンがフリーズしていることに更にイラッときた。
ターゲットは席を立って移動を始める。
さいっあく
言葉にならない言葉を胸に収めて、携帯で照に連絡を入れる。
「ごめん、ちょっと用事。外出たから任せた」
照の返事を聞かずにスマホの電源を即落として、やっと彼女に向き合う。
「ほんとにごめんなさい！！」
「いいよ、大丈夫」
なんとかにこやかな笑顔を作って爽やかに。
女の子を怖がらせるのはうん。良くない。
「えっと、パソコン、、服、、弁償します、！」
「いいよ、大丈夫だから。気にしないで」
「でも、これいいパソコンですよね、、s社最新のスペック高いの」
びっくりした。
昨日手に入れた、向こうの新作。
先に裏ルートで入手した “いい”パソコン
それを知ってるだなんて
「えっと、IT関連を勉強してて」
「…へぇ、」
「ITストラテジストって資格とりたくて、お兄さんのこのコード、凄いなってボーッと見てたらつまづいちゃいました」
最難関と言われるIT･情報系の資格
メンバーに理系がいないのも相まって、この手の話題を話せることに俄然興味が湧いた。
「名前は？」
「Aです。結城A」
「少しだけなら、教えてあげよっか？」
そんな始まりだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：午前12:00 | 作成日時：2022年8月26日 21時
