騙しあい＿green ページ33
．
「ふっかさぁ、シュレディンガーの猫って知ってる？」
「んん？なにそれ知らない！わら」
「1935年にオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが発表。物理学的実在の量子力学的記述が不完全であると説明するために用いた、猫を使った思考実験で、ランダムの確率で毒ガスの出る装置とともに猫を箱の中に閉じ込めたとき、次に箱を開けた時まで、猫が死んだ可能性と生きている可能性は重なり合っているって話なんだけどさ」
「え、ちょ！ちょっとまって！！何それ何それ！！分かんない！わら」
「まぁ要すれば、“確認するまでいるかいないか分かんない”、それって “変” だよねって矛盾に関する話」
「んん？うん、」
「ある仕事ね、みんなに秘密裏に進めてたんだけど、、横取りされたの」
「そんで、そこに書いてあってさ、
“Cat of Schroedinger ”
って」
･
･
初めて聞く名前だった。
裏稼業をしていて、初めて聞く名前。
情報を収集しようにも、どうにも集まらないそれに関する情報。
唯一見つかったのが
「あぁ、えぇっと確か1度聞いた事あるよ。アイツに復讐するんだって言ったっきり、そいつ帰ってこないんだと。まぁ皆、聞いた事ない名前だったから、そいつの妄言なんじゃないかって噂なんだけど」
という不穏なもの。
わざと名前を残した。見つかるように。
宣戦布告してるかのように。
女なのか男なのか、
1人かグループか、
…狙いは何なのか、
高速に回る思考は着地点がなく、毎回結局何も見つけることなく意識が浮上する。
「りょうちゃん、…りょうちゃん？」
彼女、Aちゃんの手によって、
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作者名：午前12:00 | 作成日時：2022年8月26日 21時
