恋に落ちたら (ページ1)

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そういうことだから、頑張って。

そう言って私の肩をバシッと叩いて
部屋から出ていった社長

途端にざわつくメイクルーム

『……待って？JO1ってあの？』

『確かプデュ日本版でできたグループだよね？』

『つまり、日本人……？』

『A…どういうことぉ…！』

そういって泣きついてきた泣き虫ヘウォン

…私も…分からない…………なんで？

5年という長い下積み時代を超えて
ようやくプロのメイクアップアーティストになった私達

そして今日、
私たちにとっては人生で最も大事な日だったといっても過言ではない専属アーティストの発表日だった

一緒に頑張ってきた四人の同期と
誰になるんだろうとワクワクしていたけど…

検索にかけて出てきたのはやはり
日本人アイドル 11人組のJO1の記事

正直言うと、韓国のオーディション番組が
日本で行われると少し話題になり知っていた程度

つい1週間前くらいに結成されたばかりらしい

事務所は韓国らしいし、わかるっちゃわかるけど
言語の壁とかさぁ…文化とかさぁ…

言語……………

「そういえば、一か月前くらいから謎の日本語レッスンあったよね」

『……嘘、この為？』

……もう既に決まっていたことだったのか

いつか有名アイドルになり、世界各国に飛び立つ時
役立つようにかと思っていたのだが

「いつかどころじゃない…今すぐ必要じゃん…」

覚えた日本語を思い出そうとしても
このパニック状態のなか出てくる言葉なんて
＂こんにちは＂ぐらい。

え、これ大丈夫？いや大丈夫じゃないよね？

コミュニケーションも取れないのに
メイクなんてできるわけない

アイドルとの信頼関係あってこそ
慌ただしいステージ裏で任せあえるのに

『…でもさあ、専属アーティスト貰えることも簡単な話じゃないし、JO1さん…も、国は違えどアイドルなんだし、私たちが輝かせられるように頑張ろ？』

そう声を上げた5人の中で1番リーダー気質なウンビ

少し落胆していた皆が顔を上げて
そうだね！と肩を叩きあっている。

…ウンビの通りだ、
JO1さんのことを輝かせられるのは私たちだけ。

日本語なんて今から猛勉強したらいいんだし、

『とりあえず円陣組んどく？』

「へへ、いいね！」

みんなの目を見ると、さっきとは違いやる気に満ちていた