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「……A、緊張してる?」
「…してるように見える?」
「見える」
「じゃあしてる」
実緒の言葉へのAの返事に、実緒はなにそれ、と笑った。
「…去年も立った舞台だし、歌う機会は数え切れないくらいあったけど、やっぱりステージ前のこの時間はいつまで経っても慣れないよ」
「…そうだね。私も」
「でも、心拍数が上がった理由が緊張なのか高揚なのか分からない感覚は嫌いじゃない」
実緒はAに目を向けた。
彼女の表情は、全ての感情を詰め込んだような、不思議な表情だった。
「…そろそろ出番だ。行こうか」
舞台袖に立つとTRIGGERの姿があった。
TRIGGERの順番は、Dólceの2つ前だ。
3人は既に臨戦状態だった。
「…A」
天がAの名前を呟いた。
時間がないのでAは天に駆け寄る。
楽と陸が話しているのを横目で見ながら、Aは天に話しかけた。
「…あの曲を歌えるのはTRIGGERだけだよ。私の持つ全てで、TRIGGERの持つ全てが出せるように作った。…だから、歌って。最高のTRIGGERを、九条天を見せてよ」
Aの言葉に天は笑った。
「上等。ボクしか見れないくらい、夢中にさせてあげる」
「楽しみにしてる」
そこまで話したところで、ミスター下岡のTRIGGERを呼ぶ声が聞こえる。
「……じゃあ、行ってきます」
そう言って駆け出した天の背中をAは見つめた。
そんなAに実緒は近づいた。
「Aって、九条天と仲良いよね」
「そう?」
「うん。私あの人と話したこと全然ないよ。…冷たい人だって聞くし」
「あはは、天は完璧主義だから。テレビの中の九条天を夢見てると、そう思っちゃうかもね」
「なんでそんなに仲良いの?」
「……これが終わったら、全部話すよ」
Aは、天が楽を信用したように、実緒になら話しても良いと思っていた。
これも、両親のことが解決してから起こった変化だ。
前なら、どんなに良くしてくれていてもいつか裏切られるのではないかと信用しなかっただろう。
Aはステージに目を向けた。天の宣言通り、TRIGGERは最高のパフォーマンスだった。
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高沢 - ドーナツさん» それと、流行りのウイルスや、風邪などにお気をつけて、どうかご健康に過ごしてください、、応援しております。 (2020年5月1日 22時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - ドーナツさん» はい...!全然大丈夫でございます!むしろリクエストに応えていただいてありがたい限りです、、!本当にありがとうございます! はい!ご無理なさらず、ドーナツ様のペースで更新頑張ってください! (2020年5月1日 22時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» 嬉しいお言葉ばかり本当にありがとうございます!これからも更新頑張るので、読んで頂けると幸いです。 (2020年5月1日 17時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» 初めまして!コメントとリクエストありがとうございます!!リクエストの件、喜んで書かせて頂きたいと思います!しかし、今考えているシナリオ上、一部が完結しないと書けそうにないので、それ以降でも大丈夫でしょうか……?勿論、絶対に書かせて頂きます……! (2020年5月1日 17時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - はじめまして、いつも作品楽しみにしております。どきどきして凄く面白いです!突然ですがリクエストをしてもよろしいでしょうか、、もし宜しければ天と夢主の2人の目線からの【独占欲】が見てみたいです。これからも応援しています (2020年5月1日 15時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドーナツ | 作成日時:2020年4月30日 15時