笑 門 来 福【HQ】【山口忠】【月島蛍】

天才じゃないし、才能もない。器用なだけです。 ページ17

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勝った。


いやー、疲れた。ジャンプってこんなに疲れるんだ…久しぶりすぎて…忘れてた…


でも、すごく楽しかった。


床に大の字で寝転がってると、
月島くんがゆっくりと近づいてきた。


「君って僕らと同じ普通の人だと思ってたけど、違うんだね。」


『どーいう意味？月島くん。』


嫌味ったらしい言い方。


「いや、ただ、才能に恵まれた天才さんはいいねって話。」


『は？』


私が才能に恵まれてる？


声が低くなったのが自分でもわかった。


「だってそうでしょ？男子に混じってもやっていけてる。むしろ戦力だったじゃん。」


まあ、そこそこ活躍していた自信はある。


でもそれと才能があるのはまた別問題。


『私に才能なんてないし、天才でもないよ？』ﾆｺ


私には、私には何も無い。


“”辛い時ほど、笑いなさい“”


「ねえ、なんでいつも笑ってんの？


僕は今、嫌味のつもりで言ったんだけど。


その笑顔気持ち悪い。」


笑顔が気持ち悪い…？


いっぱい練習したこの笑顔が…？


『…っさい』


「え？なに？」


『うるっさいって言ってんの！！あんたに何がわかるわけ！！何も失ったことがないあんたに！！私の気持ちなんて分かるわけない！！』


シーンと静まりかえる体育館。


「お、おい、A、」


烏養さんは私に声をかけてくれたけど、答える気にはなれない。


『烏養さん、先帰るね。じゃあ。』


「ちょ、」


『混ぜてくれてありがとうございました。


すごく楽しかったです。ではまた。』


後ろから月島くんの声が聞こえたけど、
知らない。


ああ。早く家に帰りたい。

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