御伽噺 ページ34
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昔々、今からは遠い遠い昔のお話です。
その国に住む人々は皆、永遠の命を持つ人々でした。
赤い実の成る木の下に小さな赤い屋根の家がありました。
そこに住んでいる少女は生まれながらにして死の呪いをかけられていました。
鮮やかに色付いた街。
蒼く光る湖畔。
赤い実のお菓子屋。
少し肌寒くなった今日もお菓子を売りに行きます。
おや？なんだか少し誇らしげですね。
自信作なのでしょうか。
『待ってて、今度こそ美味しいんだから』
街の真ん中、時計塔の見える市に着きました。
珍しいことになんだかとっても賑やかな様子です。
そんな街の隅でひとり、お菓子を売ります。
『赤い実のパイは如何ですか？私の自信作なの』
そんなのひとつも売れないさ。
と少女を蔑む人々。
『みんなと何も変わらないのに…美味しくできたのに…』
今日もお菓子はひとつも売れませんでした。
まるで少女の声が届いていないかのようです。
まるで透明になったかのように人々は少女のことを知らない振りをするのです。
何故なら少女が呪われているから。
少女と関わりを持つことで自らも呪われると思っているから。
その日の夜、家に帰ってまたパイを作ります。
少女はまだ諦めていません。
今度はアレンジをしてみるようです。上手く出来るでしょうか？
味見をしてにっこり。どうやら上手くできたようです。
綺麗に包み、時計塔の針が丁度重なった頃。
みんなお腹が空いてくる頃、また街へと繰り出します。
昨日と同じように街の隅でパイを売ります。
少女は後ろから強く人に押されます。
甘い甘い籠は地面に落ち、パイは目の前で人々に踏まれていきます。
零れそうな涙を堪えながら惨めにお菓子を拾い集めます。
ふと横からもうひとりの手が見えました。
どろどろになってしまったパイを徐に手に取り口に入れ、こう告げたのです。
「すごく美味しいね」
その声を聞いた少女は心からの笑顔に溢れました。
そうして少年は手を差し出しました。
少女が手を取った瞬間、その少年は少女に呪われてしまったのです。
街の人々はふたりを哀れみました。
赤い実を食べて呪われたんだ。
永遠に生きられずに死んでいくのさ。
【嗚呼なんて可哀想なことだろうか】
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和音(プロフ) - 鮭大根さん» コメントありがとうございます！結構前の曲なので、もしかしたらどこかで聴いたことあるかもしれないです…！知らないのに知ってる気がすることって私もあります。笑 (2020年5月2日 1時) (
レス) id: bf5ce3c5c8 (このIDを非表示/違反報告)
鮭大根(プロフ) - なんか知ってる曲だな〜と思って曲題を見たら知らない曲でした（） (2020年5月2日 0時) (レス) id: c882518901 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和音 | 作成日時：2020年4月19日 3時
