愛してる

夜遊び ページ29

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貴方の部屋にあったライターを持って帰った
帰り道貴方が吸っていた煙草を買って火をつける
紫煙が立ち上り換気扇が音を立てる
机にはよくある缶ビール
部屋に干された下着がなんだか項垂れた私のようだった

暴れてぐちゃぐちゃになった部屋と
ベッドの上で死体のように横たわるぬいぐるみ

赤いルージュを引いて、ヒールを鳴らしてよるのまちへと躍り出る

弱めの冷房に揺れた貴方の前髪が
あの夏をいつまでも私に思い出させる
今ならわかるくらいに私は、貴方のことが好きだったんだ
貴方によく似た人を探して
ねむらないまちを眺めて
その明るさに耐えきれずに目を閉じた

翌朝いつも通り出勤して、いつも通り業務をこなす
昨日の過ちなんてなかったかのように
正義も悪も何も無い
私がよければいいんだと言い聞かせる
わからないものはいつまで経ってもわからない
もう子供じゃない、大人だろ と言われてもわからない

私の部屋は昨日と寸分違わず同じ風景だ
赤いルージュを引いて、ヒールを鳴らして、今日もまたよるのまちへ踊り出す
今日もまたねむらないまちを眺めて
同じベッドに沈み込むんだ

終電なんてない
ただひとつ言えるのは貴方に恋してから私が変わったというだけ

そういえばあの夏の日、私は貴方にさよならを告げれたのだろうか
もうそれすら憶えていないけれど
きっと私はあの日から何一つ変わっていないから
また私を見つけてください

何も成長してない私を許して、笑って
それからよるのまちへ行こう
私と一緒によるのまちへ行こうよ

もう、疲れたんだ
それじゃあ、またね




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