□7.トルマリン ページ8
────……
「───親にも見放されたんだってね」
広い教室のはずなのに、私にはとても狭く感じる。
クスクスと嘲笑う声と、罵倒の言葉、陰湿な嫌がらせ。
ああそういえば。私にとって“今”が1番幸せなんだったと思い出させられる。
「───お前は恵まれているんだ」
これ以上望むことなんて無いはずなのに。
·
『───ッ！』
はっと目を開くと、薄暗くて殺伐とした部屋。
何故か乱れている呼吸を整えながらも私は左に目線を落とす。
そこにはすやすやと眠る壊理の姿があって。
『…嫌な夢、』
静かな部屋で1人そう呟くと、彼女に布団をかけてあげて立ち上がる。
寝かしつけてるうちに私も寝ちゃってたんだ。
お風呂入って、服着替えて、…自室に戻ろう。
この部屋には時計が無いから今は何時か分からないけれど、もう0時は回った頃だろうか。
クタクタになっているセーラー服をぽんと叩いて部屋を出た私はドアに寄りかかると大きな深呼吸をひとつ。
…夢で見た景色はうろ覚えだけど、嫌な思い出だったことは確かだ。
ズキンと痛む頭と霞む視界に、私はこめかみを押さえたまま歩き出した。
ここ、八斎戒の本宅の地下には風呂場が2つある。
1つは治崎さん専用。
もう1つは治崎さん以外の人間が共有して使う大浴場まではいかないけれど大きめの風呂。
私は使用中だと示すドアプレートをかけて脱衣所へと足を進める。
大きな仕事も無かった今日はほとんどの人は寝静まっているからおかげで誰も居ない。
…ああでも、ヴィラン連合の人が来てるんだったっけな。私には関わりが無いから何も教えてもらってないけれど。
多分今頃ヴィラン連合の人を出迎えてるのは治崎さんと、クロノさんと…ああ、本部長さんくらい？
『…う』
心臓が脈打つ度に体に響くのがヤケに気持ち悪くて。
早く身体だけ洗ったら寝よう。
そんなことを考えながら、もう何年も着ているせいですっかり柔らかくなってしまった制服を脱いだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 821人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ - 治崎廻さんが私の一番好きなキャラクターなのですが、夢小説がなかなか無くて自給自足しなきゃなぁ、と思っていたところ、この作品に出会いました。この作品が大好きです！続きもすごく気になります。更新頑張ってください。応援しています！ (2020年9月22日 14時) (
レス) id: 622aa4e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
碧佳 - え、めっっっっっっっちゃ好きです!!!すんごい続き気になる〜！更新頑張ってください！ (2020年3月3日 12時) (レス) id: f33055e332 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - ありささん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！ (2020年2月17日 0時) (レス) id: 9e63868de4 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - めちゃくちゃ好きですこの作品！めっちゃうちの読みたかったドストライクです！更新ファイトです！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
