■18. ページ19
────……
パタン、と病室のドアを閉める。
すぐ横には神妙な面持ちの緑谷が立ち尽くしていた。
「悪い、俺の責任だ」
「すみません…もしかしたら僕、変に踏み込んじゃったのかも」
こいつらを会わせるには早かったか。
……いや、あの様子だと早い遅いはあまり関係ないような気もしないでも無いが。
「…彼女は、全然救われてなんかいない」
ぽつりと呟く緑谷に、俺は息を吐くとAのことを話すか迷う。
デリケートなところでもあるからな。
「緑谷、お前にとっちゃある種酷な話になるが…話すか」
歩き出した俺の後ろを歩く彼に昨日聞いた彼女のことを話し出す。
「あいつは、死のうとしていたところを治崎に救われたらしい」
「え───…」
彼女が無個性だということを除いて全て話した。
同級生にはいじめられ、家族には見放され、ひとりぼっちだった彼女に手を差し伸べたのが治崎だったということを。
振り返った時に見えた緑谷の表情は明らかに暗かった。
自分自身が彼女の居場所を奪ったことを責めているのだろうか。
…いや、もっと早く救えていたらと後悔しているのだろうか。
「緑谷、お前が気負うことは無い。お前がしたことは正しいことだ。彼女自身もそう言ってた」
無論、こいつがしたことは正しい。
苦しんでいたひとりの小さな女の子を救うことができたのだから。
「…彼女にとってのヒーローとは、なんなんでしょうか」
「………」
「もっと早く誰かが彼女に手を差し伸べていれば、違う未来があったかもしれないのに」
言っていることはもっともだ。
“誰も救けてなんてくれなかった”
昨日、ヘラヘラと笑いながらもそう言っていた彼女を思い出す。
「合理性に欠けるな」
「う…」
「過去を後悔する暇があるなら彼女を救う別の方法でも考えろ。…まあ、当分面会は禁止にしておくよ」
無個性の彼女にとって、やはり緑谷を含めた同年代のヒーローは正直キツイかもしれないな。
彼女が望んでいた“壊理ちゃんを救う”ことと、彼女が恐れていた“治崎を倒す”ことを同時に成し遂げた緑谷相手なら尚更だ。
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ゆきんこ - 治崎廻さんが私の一番好きなキャラクターなのですが、夢小説がなかなか無くて自給自足しなきゃなぁ、と思っていたところ、この作品に出会いました。この作品が大好きです！続きもすごく気になります。更新頑張ってください。応援しています！ (2020年9月22日 14時) (
レス) id: 622aa4e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
碧佳 - え、めっっっっっっっちゃ好きです!!!すんごい続き気になる〜！更新頑張ってください！ (2020年3月3日 12時) (レス) id: f33055e332 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - ありささん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！ (2020年2月17日 0時) (レス) id: 9e63868de4 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - めちゃくちゃ好きですこの作品！めっちゃうちの読みたかったドストライクです！更新ファイトです！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
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