□11. ページ12
·
ズキン、ズキン、と頭の奥が…胸の奥が、針を刺されるみたいにテンポ良く痛む。
おいで。
ごめんね。
大丈夫だよ。
ありきたりな言葉ばかりの私の頭の辞書。
怖くて、苦しくて、辛いはずの壊理にかける言葉はいつも同じだった。
泣いている壊理を見る度に痛むのは心。治崎さんの言いなりでいるしかない私は何も出来なくて。ただ抱きしめてあげることしか。
「───おい、誰かいるぞ！」
「───保護対象の少女か！？」
ザワザワとした声が途切れ途切れに聞こえるけど、朦朧とした意識ではよく分からなかった。
夢なのか、現実なのか、自分自身が生きているのかも。
『壊理…は、』
割れ物を扱うみたいに優しく抱き上げられるのを感じながら私は小さく口を動かした。
保護されるべきは私じゃなくて、壊理の方だ。
やって来たヒーローと思われる人々に伝えたいことは沢山あるのに、口が上手く回ってくれない。
私は矛盾してる。
壊理を救けたいって言いながら、治崎さんを守りたい。
結局は私も偽善者なんだ。
·
激しい破壊音、喧騒の音、人々の声。
徐々に鮮明になっていく“ソレ”に、はっと私は目を覚ました。
勢いよく身体を起こせば、視界がグラついて私はバランスを崩す。私の乗せられていたストレッチャーが倒れ、ガシャンという金属音が響いた。
周りにいたのは警察かヒーローだろうか。
目を覚ました私に慌てて駆け寄ってくるが、私がある光を見つけた方が早かった。
『あれ、は…』
倒れ伏せた私が人々の隙間から見たのは、いつしか見た緑色のコスチュームに身を包んだヒーローの男の子と、個性を制御しきれていない壊理。
『壊理…！！』
壊理の個性は巻き戻す個性だ。
…とても強力な個性。
あのままじゃ、男の子が死んじゃう。
すぐに駆け寄ってあげたかったのに身体が思うように動いてくれなくて、私はヒーローに抱き上げられる。
『やめて、…離して…！壊理が…！』
私の声は届かない。ここから見える距離に居るのに。
『────壊理ッ！！！！！』
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 821人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ - 治崎廻さんが私の一番好きなキャラクターなのですが、夢小説がなかなか無くて自給自足しなきゃなぁ、と思っていたところ、この作品に出会いました。この作品が大好きです！続きもすごく気になります。更新頑張ってください。応援しています！ (2020年9月22日 14時) (
レス) id: 622aa4e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
碧佳 - え、めっっっっっっっちゃ好きです!!!すんごい続き気になる〜！更新頑張ってください！ (2020年3月3日 12時) (レス) id: f33055e332 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - ありささん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！ (2020年2月17日 0時) (レス) id: 9e63868de4 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - めちゃくちゃ好きですこの作品！めっちゃうちの読みたかったドストライクです！更新ファイトです！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
