□2.ブラックオパール ページ3
────……
「壊理が逃げた」
ついさっき洗い終えたばかりのセーラー服に袖を通していた時だった。ノックも無しに治崎さんが私の寝室に入ってきたのは。
今にも人ひとり殺してしまいそうな、殺気に満ち溢れた目。
壊理が、逃げた…？
凍りつきそうな空気にゾクリと鳥肌が立つのを感じながらも、私は別の不安に駆られた。
壊理は大丈夫だろうか。ろくに外に出ていないあの子がどこへ向かったのかは私には分からないけれど。
「壊理を引き戻して来る。お前もついて来い」
慌ててリボンを付けて治崎さんの背中を追おうとして、私は踏み留まった。
そんな私にいち早く気づいた彼はいつもに増して冷めた瞳をこちらに向けた。
このまま、逃げ出した方が壊理は幸せになれるんじゃないか。
でも、悪い奴らに捕まって今と同じように個性を利用されたら。
色んな思いが渦巻いて、立ち止まったままの私に治崎さんは深くため息を吐いて歩み寄ってきた。
手袋を外しながら。
「お前は」
ゆっくりと手袋に包まれていない彼の手が私に近づいてくる。
「…俺の命令に従う以外の選択肢は持っていない。忘れたのか」
『…忘れてません』
違う、…違うの治崎さん。
貴方に反抗したいわけじゃない。
────ス、と彼の指が私の頬を撫でた。
てっきり“分解”されてしまうのかと思ってた私は身構えるけれど、何も起こらない。
ただきっと…今の私の顔は強ばってる。
『…触ったら、汚い、です』
「お前は無個性で病気じゃないからな。そこまでの嫌悪感は無い」
淡々と吐き捨てた彼は私に背を向ける。
「行くぞ」
生憎私には…命の恩人である貴方に“NO”と言える勇気も、権利も、何も持ち合わせてないから。
『はい』
私は重い足取りで治崎さんの少し後ろを追った。
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ゆきんこ - 治崎廻さんが私の一番好きなキャラクターなのですが、夢小説がなかなか無くて自給自足しなきゃなぁ、と思っていたところ、この作品に出会いました。この作品が大好きです！続きもすごく気になります。更新頑張ってください。応援しています！ (2020年9月22日 14時) (
レス) id: 622aa4e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
碧佳 - え、めっっっっっっっちゃ好きです!!!すんごい続き気になる〜！更新頑張ってください！ (2020年3月3日 12時) (レス) id: f33055e332 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - ありささん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！ (2020年2月17日 0時) (レス) id: 9e63868de4 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - めちゃくちゃ好きですこの作品！めっちゃうちの読みたかったドストライクです！更新ファイトです！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
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