我妻善逸さん 弐 ページ26
「ほら、炭治郎さんたちが呼んでます。
……お、終わったら、その…おまんじゅうを用意しておくので一緒に食べましょう…」
トンッと背中を押されて小さく手を振られる。
控えめに笑うAちゃんを見てウワー可愛い。とんでもねぇAちゃんだ。
なんて阿呆なことを思いながら重い体を引きずった。
少しだけ離れた時、一つの音が耳に届いた。
ドキン。
──何だこの音。
ドキン、ドキン。
──いやめちゃくちゃ鳴るじゃん。どういうことこれ?どうなってんの?
きゅう、
──ああ。思い出した。これは
恋をする人の音だ。
それに気づいた瞬間にAちゃんの方を見ると、慌てたような表情になり両手で顔を隠してしまった。
さっきよりも顔が赤くて、林檎みたいだ。
いやいや、こんなに可愛い子いる?
とんでもねぇよ。
なんて音をするんだ。
──まるで。
ドクン。
きゅう。
Aちゃんの好きを、全身に浴びているみたいだ。
きっとこの音が出てるのも、俺に聞こえてるのもAちゃんはわかっているんだろう。
それでも逃げようとか、避けようとかしなかった。
Aちゃんの気持ちは本当なんだと、本物なんだとびしびしと伝わってくる。
なんとも情けないが俺はその場から動けずにいた。
いやだってこんな可愛い子から好きって言われてみろよ誰だって卒倒もんだよ。
※言われてはいません。
なにか、なにか喋らなくちゃ。
震える口を無理やり動かして声を出す。
「訓練が終わったら…ありがたく頂くね……」
いや何か他に言うことあったでしょ!?何これ!?
自分でもないと思うよこれはね!はいはいはいわかってるよ!!!
ギリィ、と唇を噛んでいるとAちゃんはまた嬉しそうに笑った。
「はい!たくさん用意して待ってますね!」
ころん。ころころ。
また楽しげな音が俺の耳に響いた。
何だか少し、頬が熱くなるような音も混じってたような。
ていうかやっぱりAちゃんの笑顔めちゃくちゃ可愛いな。
それだけであと十周は走れるな。
汗まみれで息を切らしながらも俺はそう感じた。
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三色 ─みしき─(プロフ) - 煉獄推しさん» 申し訳ありません。只今リクエストは受け付けていません。 作品を読んでくださりありがとうございます (2021年7月4日 10時) (レス) id: d6f8835509 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄推し - リクエストオッケーですか?オッケーなら、返信が来たときに送りたいのですが… (2021年7月2日 18時) (レス) id: c685ed7b70 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» いえいえ、拙いだなんてそんな!みしろさんの作品大好きです!いやいや、私こそ様なんて付けなくていいのですよ…!あわわ、ありがとうございます…!変則的なので不安ですがもそもそ活動していきます…! (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - すいさん» なんと……!!私の拙い文章を読んで下さっていたとは!!有り難き幸せ!!様なんて付けないでください!!むしろ此方が様を付けなければいけないような……(?)すい様のペースで良いのですよ…… (2019年7月4日 2時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» みしろ様 ひょえ〜ッッ!ありがとうございます…!実はこっそりみしろ様の作品を見てましてひっくり返りそうになりました…。ありがとうございます、まったりと更新していきますね(´▽`) (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三色 | 作成日時:2019年6月17日 3時