竈門炭治郎さん 壱 ページ21
中高一貫、キメツ学園。
お昼ご飯を食べ終わり各々が好きに過ごしている中、顔を真っ青にしてお腹を押さえる女子生徒が一人。
隣の席で騒ぐ男子生徒の声ですら煩わしい。
普段は思わないことを思ってしまうくらいにはAは参っていた。
そう、生理である。
しかも運の悪いことにAは一日目と二日目の生理痛の症状が重く、いつも失神寸前までいくほどだった。
(困ったなあ…予定日は明日だったんだけど)
(油断した……。)
後悔してももう遅い。
なってしまったものは仕方がなく、対応するしかない。
鈍く、重く痛む腹を押さえながら立ち上がろうと足に力を入れる。
が、かくんと力が抜けてしまう。
手足の先が冷え、震える。
じんわりと汗も滲んできて、本格的にまずくなってきたと焦る。
「A?
顔色が悪い…。大丈夫か?」
自分の名が聞こえ、声がした方向へ顔を向けると
いつの間に来ていたのか、椅子からおりてAの横にしゃがみこんでAの顔を見上げる男子生徒がいた。
「た、たんじろう、くん」
竈門炭治郎。
Aと同じクラスで、その優しい性格や笑顔が素敵な人で人気者。
彼に告白する女子生徒は絶えないという。
Aも何度か話したことがあった。
皆が彼に惹かれる理由がわかるなあ、なんて
人見知りなAが一度話しただけでわかってしまうほどに彼は素敵な人であった。
「だ、だい、じょうぶ…!ご、ごめんね、友だちと話してたのに……」
無駄な心配はかけられない、とAは強がって、にこりと笑ってみせた。
すると、昼休みの終わりを告げるチャイムが響いた。
教室中がざわめき、がたがたと元の席に戻っていくクラスメイトたちを見ながら、未だ心配そうな顔で見つめてくる炭治郎にAはもう力を振り絞って声を出した。
「あの、ね。わたし、具合が悪い…から保健室に行くね」
「次の授業の……煉獄先生に伝えてくれる、と…助かる、!」
痛みの波が押し寄せて、一瞬ギュッと目を瞑ってしまう。
そしてこのままダラダラと座り込むわけにはいかない。
痛みに耐えながら、ふらふらと教室を出た。
ずり、ずり、と壁伝いに歩いていく。
ひんやりとした空気が流れ込み汗をかいているから涼しいけれど、体が冷えてしまうから駄目……と悲しいループが生まれてしまう。
「っつぅ……!も、やだ…」
ぐすん、と鼻を啜る。
情けない。力を込めていないと、痛みで涙が出そうだった。
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三色 ─みしき─(プロフ) - 煉獄推しさん» 申し訳ありません。只今リクエストは受け付けていません。 作品を読んでくださりありがとうございます (2021年7月4日 10時) (レス) id: d6f8835509 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄推し - リクエストオッケーですか?オッケーなら、返信が来たときに送りたいのですが… (2021年7月2日 18時) (レス) id: c685ed7b70 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» いえいえ、拙いだなんてそんな!みしろさんの作品大好きです!いやいや、私こそ様なんて付けなくていいのですよ…!あわわ、ありがとうございます…!変則的なので不安ですがもそもそ活動していきます…! (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - すいさん» なんと……!!私の拙い文章を読んで下さっていたとは!!有り難き幸せ!!様なんて付けないでください!!むしろ此方が様を付けなければいけないような……(?)すい様のペースで良いのですよ…… (2019年7月4日 2時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» みしろ様 ひょえ〜ッッ!ありがとうございます…!実はこっそりみしろ様の作品を見てましてひっくり返りそうになりました…。ありがとうございます、まったりと更新していきますね(´▽`) (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三色 | 作成日時:2019年6月17日 3時