嘴平伊之助さん 弐 ページ13
｢綺麗だね。｣
｢ただの花だろ｣
｢伊之助らしい。｣
いつもと変わらない幼馴染みにくす、と微笑みながら何気なく上を見上げると、若菜色で視界がいっぱいになった。
そのままぼうっと眺めていると、ひらりひらりと葉っぱが落ちてきた。
そしてAの目線は伊之助へ。
Aをじっと見つめるそのまぁるくて大きな、深い翡翠色の美しい瞳。
スッと通った鼻筋に、整った唇。
美青年。そんな言葉がぴったりの伊之助だった。
でもその顔はいつも不満そうで、口を開けばやれ決闘だの弱味噌だのと暴言が飛び交う。
じっとして何も喋らなければ誰もが見惚れる程の美貌。
だがそのアンバランスさに、Aは心底惚れていた。
｢綺麗。綺麗だね、伊之助。｣
｢知らねぇよ｣
一緒に並んで座り、ただ花を見つめ、何気ない会話を交わした。
そよそよ、と柔らかい風が吹き抜ける。
すると伊之助はすん、と鼻を動かしてぐいぐいと近寄ってきた。
｢な、なに、どうしたの突然……｣
急な出来事に頭が追いつかず、Aはずりずりと後ずさりをするだけであった。
問答無用でずいっと近付いてくる伊之助の頭をむぎゅっと押さえ、ようやく抵抗した。
｢もう、何なのいったい……。｣
呆れた声音でそう問えば、伊之助はなんでもない顔をしてすっと口を開いた。
｢A、テメェ…シャンプー変えたか？｣
｢はっ！？……え？｣
伊之助から告げられたのは衝撃の言葉だった。
髪型を変えてみても、カーディガンを変えてみても、制服の着こなしを変えてみても……何も言わなかった伊之助。
興味がないんだなと結論づけ、Aは切り替えていた。
だが今、伊之助は何と言った？
シャンプー？変えた、確かに先日変えたのだ。
何故気付いた？伊之助には臭かっただろうかと内心で反省会のようなものが開かれる。
そんな悶々としたAを気にもせずに伊之助は続けた。
｢いつもと違う匂いすんだろ。｣
｢あ、そういうこと……。ごめん、臭かった？｣
伊之助にとって不快な匂いならすぐにでも離れなくては、とAは考えすっと伊之助の反対側にずれて距離を取ろうとした。
するとカサリ、と草の音がして、伊之助は自分の隣にいる幼馴染みが離れようとしているのにすぐに気がついた。
｢おい！何で離れようとすんだよ！！
そんなこと言ってねぇだろうが！｣
｢うわっ…！？｣
Aが伊之助にとって不快なものなのだと勝手に思い込んだことに怒ったのか。
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三色 ─みしき─(プロフ) - 煉獄推しさん» 申し訳ありません。只今リクエストは受け付けていません。 作品を読んでくださりありがとうございます (2021年7月4日 10時) (
レス) id: d6f8835509 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄推し - リクエストオッケーですか?オッケーなら、返信が来たときに送りたいのですが… (2021年7月2日 18時) (レス) id: c685ed7b70 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» いえいえ、拙いだなんてそんな！みしろさんの作品大好きです！いやいや、私こそ様なんて付けなくていいのですよ…！あわわ、ありがとうございます…！変則的なので不安ですがもそもそ活動していきます…！ (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - すいさん» なんと……!!私の拙い文章を読んで下さっていたとは!!有り難き幸せ!!様なんて付けないでください!!むしろ此方が様を付けなければいけないような……(？)すい様のペースで良いのですよ…… (2019年7月4日 2時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» みしろ様 ひょえ〜ッッ！ありがとうございます…！実はこっそりみしろ様の作品を見てましてひっくり返りそうになりました…。ありがとうございます、まったりと更新していきますね(´▽｀) (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三色 | 作成日時：2019年6月17日 3時
