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Aside
途中で眠らされてどこかに連れてこられて、
暗い所で手足を紐で縛られて身動きが取れない中、
ようやく取れたスマホからはじめちゃんに連絡を取った。
でも、そんな連絡も犯人に気づかれて切られてしまった。
「Aちゃん、ようやく僕の者だよ。」
「いやっ…。」
「そんな目で僕を見ないでよ！」
「はじめちゃん、大好きだよ＿＿＿」
目をつぶってもうやられる覚悟をした私。
バンッ！
「警察だ！動くな！」
剣持さんの声が聞こえた途端に私は安心感があって、
「くっそ！」
「おい、待て！！！」
「はじめ！」
はじめちゃんはその犯人の腕を逃がさないように掴んで、
でもナイフを持っていた犯人は、
はじめちゃん目掛けてナイフを振り下ろしていた。
「はじめちゃん！！！！」
「…ぶねぇ！」
ギリギリの寸前で避けたはじめちゃんは私の目の前に守るように立った。
「Aを狙った理由は、これだろ？」
私達が居た喫茶店の防犯カメラ映像を見せたはじめちゃん。
「これって、犯人？」
「と、A先輩？」
「お前はAにこの時優しくされた。
でも駅で俺達と少し離れてる時に声をかけて、
その時Aに顔を覚えられていなかった。」
「僕のAちゃん…優しくしてくれたんだよ！」
その男性の威圧感のある声に肩がビクリと動いた。
剣持さんが手足の紐を解いてくれて立たせてくれる。
「Aはあんたのじゃねぇよ。」
「お前が…お前がいなければ…！」
「はじめちゃん！！！」
「Aは俺の彼女だ。俺の女に手だすんじゃねぇ。」
はじめちゃんのいつもより低い声がその場に響いて、
私ははじめちゃんの背中を見つめることしか出来なかった。
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作者名：反町ゆうり
| 作成日時：2022年3月31日 21時
