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Aside
どうしてデスマスクなんか…。
「デスマスク?」
「翔?」
「ウエルカムプレゼントにデスマスクとは、随分悪趣味ですね〜毛利さん。」
「違います!私は、ケーキだとばかり…私は、
この館の主人の指示に従ってこの箱を運んだだけで。」
私は立ち上がってはじめちゃんの隣に立って、ボードに挟んであるその紙を確認した。
「「指示?」」
「はい。この箱を地下のキッチンから、
あの料理用のエレベーターを使って1階の食堂まで上げるようにと。」
はじめちゃんが箱の脇に置いてあった黒薔薇を持ち、
その料理用のエレベーターに置いた。
「何やってんだ?金田一。」
「地下のキッチンに行ってみよう。」
「はい。」
そして地下のキッチンまで私たちは降りて、
私がエレベーター用の扉を上に押して赤い箱を毛利さんに渡した。
「これは、私が用意したケーキです。」
「「思った通りだ/ね。」」
私がエレベーターの壁を外して、はじめちゃんが置いた薔薇を手に取った。
「エレベーターが二重壁になってたんだよ。
二重壁の奥には最初からデスマスク入の箱が用意されていた。
それに気付かず、毛利さんは箱をここに置いて、
食堂に行き反対側に置いてあった箱を運んでしまったんだ。」
「二重壁に気付かなかったってことは毛利さん、
あなたは最近ここで働きはじめたんじゃないですか?」
「実は昨夜、来たばかりで。
でもこれで、私の疑いは晴れましたよね?」
「それは違う。たった今証明されたのは事前に、
このエレベーターに細工ができれば、
誰にでもトリックが可能だったということだけだ。
つまり、ここにいる誰もがローゼンクロイツ。」
「黒薔薇の花言葉は、"死ぬまで憎む。" そして"永遠の死。"
黒い薔薇よ、その饒舌なる沈黙よ。
願わくばこの場にてわれらの秘めたる罪よ明かしたまえ。」
「俺は帰る!」
「私もこんな気味の悪いところにはいられないわ!」
祭沢さんと弾田さんが出ていき、
はじめちゃんと高遠と顔を合わせて私達もその後を追った。
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作者名:反町ゆうり | 作成日時:2022年3月15日 18時