〈2〉病んでる海賊達の短編集【ワンピース】 (ページ18)

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「最初は鬱陶しい女だと思っていたが、お前はそこらの女とは違った」

そりゃそうよ。
貴方に好きになってもらうために努力したんだもん。

以前の私ならこの状況に手放しで喜んだはずだ。
彼に対して恐怖心を持ってしまった今では、この状況にこの台詞は絶望でしかない。

『そん、なこと……私なんて地味で何も取り柄が無いし』

「気弱な面もあるが、芯が通っていることも知っている」

『……っ！！』

自分が作ってきた性格だ。
否定したところで効果はないだろう。

あぁ、今更後悔しても遅いか。

「そして勘が鋭い。気付いたんだろう？あの男を殺したのが誰か」

だから俺への態度を変えた。そうだろう？

ギシリとベッドのスプリングが鳴る。
1人用のベッドだ。
2人分の重みに悲鳴をあげている。

「にも関わらず、俺を海軍に突き出さない。証拠が無いから、意味がないと考えたんだろう？ククッ、賢い選択だ」

狭い部屋。
逃げ場なんてない。

被っていた毛布は奪われ、部屋の隅へ投げ捨てられた。
そのまま彼は私に覆い被さる。

「俺の本質に気付いて逃げようとしたみたいだが、残念だな。俺はとっくにお前の虜になっている」

『っ、そんな』

「俺をここまで好きにさせておいて、今更逃げられると思うな」

顔を彼の大きな手でガッチリ固定された。

逃げられない状態で彼の端正な顔が近づいてきて唇が合わさる。

覆い被さった身体は重く、びくともしない。

口は私よりずっと大きく、隙間から酸素を取り込むことができない。

彼の唾液が、自分の喉に落ちていくのがわかる。

彼の雄の匂いで鼻腔が埋め尽くされていく。

これは紛れもない現実(リアル)だ。

意識が飛ぶ、

その直前に解放されて、思いっきりむせこんだ。

酸素が頭に回りきってない状態だが、彼は関係なしに話し始める。

「俺はCP9に所属する世界政府公認の暗殺者だ。このガレーラカンパニーにも調査のために潜入している」

知ってる。
でも、貴方の口から聞きたく無かった。

だって、その台詞を言ったということは

『……っ、私このこと誰にも言いません！だからっ』

「言っただろう。逃がしはしないと」

お前は連れて行く。

もうすぐ任期も終わるだろう。

「お前に戸籍が無くて助かった。隠蔽工作がしやすい。A。ククッ…お前は最後まで良い女だな」

夢と現実(リアル)は違う。

気付くのが遅すぎた。