六人目の五年生はあいつの弟 (ページ8)

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危ない級友　勘右衛門seid ページ8

さて、午後の授業も一通り終わり俺は隣の兵助と目線を合わせた。

次に、視線はAへ…

「？あれ、どこ行った？」

目当ての男がいないことに気づき、慌てて飛び出す。
だが、廊下にも既にAの姿はない

「……やられた」

「俺達に気を遣って姿くらましたか、あいつ」

Aのこの行動は今に始まった話ではない。

一年の時から、あいつは弱ってる所を見られたくないのか、体調がすこぶる悪い時は必ず俺達の前から姿を消す

そして、俺や兵助が気づいた時にはあいつはいつも医務室の布団の中だった

だが、Aと出会って数年。

いい加減パターンが読めてきたおかげか、今は少しの変化も見落とさないくらいまできていた

少し目を離して放っておけばあいつはまた無茶をする。

危なっかしい事この上なし

だがら今度こそ、悪化する前に対策しておこうと思っていたのに……

(とりあえず、Aを探しに行かなくては)

「おーい、勘右衛門ー！」

「！八？」

そんな事を考えていたら、隣の教室から八左ヱ門の声が聞こえた

遅れてその後ろには雷蔵と、三郎。

「Aは大丈夫だったか？あいつ朝から具合悪そうでさ…心配してたんだ」

「やっぱり体調悪かったのか

授業終わったら無理にでも引っ張って行くつもりだったんだけど…気がついたらいなくてさ」

「え、Aいなくなったの？！」

「心当たりは探してみるつもりだけど、どこかあいつが隠れそうな場所知らないか？」

「…三郎。君は知ってるかい？」

ここで、今まで黙って聞いていた片割れに雷蔵が話を振る。

三郎は気怠げに口を開いた。

「………さぁ。俺には関係ないし

第一、体調管理のできてないあいつの落ち度だろ」