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目指す先は闇 ページ44

“…Aッ!!”

『…』

(……息、切れてた。あの小平太が…)


掴まれた腕がまだ熱い。

久々に見た小平太の顔に少しだけ安堵してしまった。
休みもせず探し続けてくれた事が嬉しかった。

でも、そんな小平太の手を俺は振り解いた

罵声を浴びせ思ってもない言葉で傷つけて、挙げ句の果てに崖から突き落とした


(もうこれで、本格的に後戻りできない)






腹を括ったからか、足取りはさっきよりも軽い
気づけばいつの間にか目的地に着いていた


あたりは既に暗くなっており、月明かりだけが唯一の光だった


そして、あの日出て行ってから全く変わっていない風貌でその場所が残っていた事に驚く


『……変わってないな』

「覚えいるのか?あの場所」

『あぁ。少し朧だけど』



「おやおや、こんな時間にお客様かと思えば…懐かしい気配がするじゃないかい」

『!!』
「!?」


突如として背後に降り立った気配に一瞬遅れて反応する。立っていたのは花魁のような和装に身を包んだ女性


「あら、東雲の旦那。生きてたのかい?
運が良い人だ事…でも、その運もここで終わりさ」


女が袖から出した扇子を構える。
その動きで何かを悟った侍がAを引っ張り己の巨体で隠す

「さようなら」


女が扇子を一度振る。すると中に仕込まれていた針が数十本飛び交い、そのうちの何本かが侍の背中に刺さった

「…ごほっ」
『おい、しっかりしろ!』


吐血し、そのままうつ伏せで倒れる侍の体に守られ針は回避できたAは、様子のおかしい侍に気づき、呼び続ける

その声に僅かに反応して侍がか細い声で囁く


「すまなかった……鉢屋の、娘の事」
『…!』


それを最後に、侍は二度と動くことはなかった
どうやらただの針ではないらしい


『この針、毒か』

「そう。私の毒は少量が体内に入っただけでも即死



次はお前の番だよ。屍」


侍の体から抜け出し、刺さったままの針を抜いてやる。そして、背後の女を睨んだ


『あんたこそ、覚悟しろ。紅藤』

「覚えててくれたのかい?嬉しいねえ

再会直後で名残惜しいけど……お前もあの世へおゆき」

『…それはこっちのセリフだ』



腰の刀に手を掛けて構える。女もまた扇を構える
殺気が辺りに充満し、空気がピリつく


だが、二人の間にあった緊張感は、第三者によってかき消される事になる






「やめよ」



 

嘉黒弥右衛門→←さらば友よ。



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設定タグ:忍たま乱太郎 , 六年生 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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伊綱(プロフ) - 紫さん» ありがとうございますありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです頑張りますっっ (2020年12月23日 12時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
- この作品むっちゃ好きです。更新楽しみにしてます (2020年12月22日 3時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます!とても嬉しいですっっ (2020年10月28日 15時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年10月28日 14時) (レス) id: 1d63efc7c2 (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます!!なるべく更新できるよう頑張ります (2020年10月23日 11時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊綱 | 作成日時:2020年7月25日 13時

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