微かな違和感 伊作side ページ13
襖の向こうにいる気配に語りかけると、ゆっくり開く扉
「姿も見せず盗み聞きとは悪趣味じゃないか」
『人聞きの悪い事を言わないでくれ』
そっと、音もなく入室するAの行動は竹谷を労わってだろう。スッと隣へ座り顔を覗いた
『腫れてきたな』
「文次郎、少しやり過ぎちゃったみたいだね」
『少しじゃない。とても、だ』
「君ねぇ…」
『でも、
あれだけできれば十分だよ
…………これなら俺なしでもこの先頑張れそうだ』
「え？」
最後の言葉だけ聞きとることができなかった。竹谷を見るAの目の光が何か決心したかの様に揺らぎがなくなった
その目に、少しだけ不安を感じたのはきっと気のせい
『伊作、引き続き竹谷を頼んだぞ』
「もう少しここにいれば？」
『そうしたいけど、さっき急な任務が入った
行かなきゃならない』
すくっと座っていた体勢から体を起こし、竹谷の頬に触れる
『よく頑張ってくれたな。ありがとう』
心なしか、眠る竹谷の顔が和らいだ様に見えた
言葉が、届いたのだろうか。
『＿＿＿。』
「……え？」
どう言う意味、それ。
「！Aッ」
バッとAが出ていった襖を乱暴に開き
外に飛び出す
だが、既にその姿は無かった
小さかった些細な不安は
その時、明確なものとして生まれた
「A、お前……」
不意に、後ろを振り返る
「今の言葉、お前にも届いたんだね…竹谷」
眠りながら静かに涙を流す竹谷に、なんとも言い難い感情が姿を表す
「ほんっとに…君はいつもいつも後輩を泣かすんだから」
Aが後輩を泣かす時は決まって何らかの無茶をする時だ。そしてその後輩の中でも特に竹谷がAを気にかけてるのだが、今回はそれができない
だからこそ、僕は自身の勘を頼りに動き出す
見慣れた背中を追う為、走る
聞かなくてはならない。
さっきの言葉の意味を
“竹谷、みんなを頼んだよ”
(A…、お前 何をするつもりなんだ)
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伊綱(プロフ) - 紫さん» ありがとうございますありがとうございます！！めちゃくちゃ嬉しいです頑張りますっっ (2020年12月23日 12時) (
レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - この作品むっちゃ好きです。更新楽しみにしてます (2020年12月22日 3時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます！とても嬉しいですっっ (2020年10月28日 15時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年10月28日 14時) (レス) id: 1d63efc7c2 (このIDを非表示/違反報告)
伊綱(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます！！なるべく更新できるよう頑張ります (2020年10月23日 11時) (レス) id: f89eb70165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊綱 | 作成日時：2020年7月25日 13時
