お館様の尊敬する炭治郎の義理の兄はーーらしい～其の参～ (ページ5)

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水面に写った炭治郎の姿。禰豆子の箱と背後に現れた父と義兄の言葉。それは炭治郎自身の本能の警告。すでに気づいているはずの"小さな手がかり"を炭治郎が理解していないため本人や父、義兄の姿を借りて出現し警告した。

炭治郎(斬るべきものはもう在る……。迷わない……。覚悟……。斬るべきもの……目覚めるために)

炭治郎はやっと理解したが一瞬迷ってしまった。夢の中の事が現実に影響したら取り返しがつかないからだ。だが炭治郎はすぐに覚悟を決めた。日輪刀を自分の頸に当てた。

炭治郎「うおおおあああ！！！」

炭治郎「あああああ！！！」

現実では炭治郎が叫びながら目覚めたと同時に頸を確認した。ほっと一息つくと大声に吃驚した禰豆子と縁を見る。禰豆子は手摺に隠れて縁は固まっている。

炭治郎「禰豆子！兄ちゃん！大丈夫か……」

声をかけようとして自分の手首に巻いてある縄に気がついた。その匂いを嗅ぐと切符の匂いも同様に嗅ぐ。矢張り鬼の匂いがしたらしい。次に当たりを見ると更に驚いた炭治郎。

炭治郎「煉獄さん！善逸！伊之助」

炭治郎は縄を見て切ろうとするが縁に止められた。その判断は正しい。もしも切っていたら夢の主では無いものは永遠に目が覚めなかった。この事を今回の犯人である"下弦の壱眠り鬼魘夢"は言わなかった。どうせ人間は使い捨てであり自分の喰い物でしかないからだ。

縁「禰豆子、この縄を燃やしてくれるかい」

禰豆子「むぅー！」

禰豆子の血鬼術で縄を燃やした。良くやったと縁は禰豆子の頭を撫でてあげる。炭治郎は伊之助と善逸を起こそうとするけど起きる気配がしない。

炭治郎「だめだ！二人共起きない！！煉獄さ……！」

煉獄を起こそうと振り向いたと同時に炭治郎は後ろに仰け反る。三つ編みの少女が持っていた鬼の体の部位で作られた錐を炭治郎に突きつけようとしたからだ。

三つ編みの少女「邪魔しないでよ！あんたたちが来たせいで夢を見せてもらえないじゃない！」

炭治郎は自分の意思で鬼に従っている少女に戸惑っている。縁は泣いている病弱の青年を除いて気絶させた。これ以上は彼女らの精神が耐えられずに狂っていただろう。

炭治郎「……幸せな夢の中にいたいよね。わかるよ。俺も夢の中にいたかった……。大丈夫ですか？」

病弱の青年「……ありがとう。気をつけて」