第八話 浅草尾行 ページ30
炭治郎は夜の光り輝く浅草に来ていた。山育ちの炭治郎にとって夜の明るい浅草は天敵のようなものだ。
炭治郎「(街はこんなに発展してるのか!夜なのに明るい!建物高っなんだあれ!都会って……都会って……めまいがする)あ、あ、あっちに行こう禰豆子」
浅草は沢山の人で賑わっている。路地裏に入ると接吻している男女を見て「失礼しました!」と大声を出してまた別の道を行く。やっとの事でついたのは街灯も少なく静かな所。うどん屋の露店を見つけて炭治郎は山かけうどんを頼む。禰豆子はこっくりこっくりしている。
店主「山かけうどん、いっちょ出来上がり」
炭治郎「ありがとうございます」
炭治郎は一口口に含んで息を吐く。するととある匂いが炭治郎の鼻を掠める。炭治郎はこの匂いを知っている。知らないはずがない。炭治郎はうどんの入った器を落とす。顔が青ざめ息が荒くなる。炭治郎は刀を持って一目散に走り出す。
炭治郎(この匂い!どうして突然こんな所で!家に残っていた匂いだ。鬼舞辻……無惨!)
炭治郎は明るい街に入って人を掻き分けて走る。周りの人が困惑した顔をうかべるがそんなことお構い無しだ。そして匂いの主である者の肩を掴む。ゆっくりと振り返ったその者、鬼舞辻無惨。眉をひそめていて肌は白く目は血のように赤い。
炭治郎(こいつが!)
炭治郎は刀に手をかける。
女の子「おとうさん、だぁれ?」
炭治郎「っ!?」
その者の腕の中にいた子供が声を上げる。炭治郎はさらに顔を真っ青にして口に手を当てる。
炭治郎(こいつ……こいつ!こいつ!人間のふりをして暮らしているんだ!)
鬼舞辻「私に何か用ですか?随分慌てていらっしゃるようですが……」
道の向こうからも女の子の母親と思われる女性も現れる。
女の人「あら、どうしたの?」
女の子「おかあさん」
炭治郎(人間だ。女の子と女の人は人間の匂いだ。知らないのか?わからないのか?こいつが鬼だって人を喰うって)
女の人「お知り合い?」
鬼舞辻「いいや。困ったことに少しも……知らない子ですね。人違いではないでしょうか」
そう言うと後ろを通りかかった男の首筋に炭治郎しか見えない速さで三つの引っかき傷をつける。男はよろめくと鬼舞辻の血が体に入って鬼になる。近くにいた嫁に噛み付いた。
男の嫁「キャアアアッ!!」
炭治郎が女の人と鬼舞辻の間を通って鬼を止める。
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作者名:神夜の羽織 | 作成日時:2020年8月9日 9時