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第五話 男に生まれたのなら ページ21

【今日は刀の素振り。「今日は」と言うより最近毎日素振り。山下りの後腕がもげそうなほど素振り。刀は折れやすいと言われた。縦の力には強いけど横の力には弱い。刀には力を真っ直ぐに乗せること。刃の向きと刀を振る時込める方向は全く同じでなければならない。さらに刀を破損。つまり刀を折ったりしたらお前の骨も折るからなと低めに脅される。

今日は転がし祭り。どんな体制になっても受け身をとって素早く起き上がる訓練。俺は刀を持ち鱗滝さんを斬るつもりで向かっていく。鱗滝さんは素手。丸腰。でも、馬鹿みたいに強い。俺はいつもすぐぶん投げられて地面に転がる。

今日は呼吸法と型のようなものを習う。腹に力が入ってないって怒られてお腹バンバン叩かれる。それから禰豆子が目覚めなくなって半年経つ。
鱗滝さんがすぐに医者を呼んで診せてくれたけど異常はなくて。でも、眠り続けるのは明らかにおかしい。

怖かった。朝起きたらコロンと死んでしまっているんじゃないか。そう考えない日はない。
山下りはもっと険しく空気の薄い場所での訓練になる。死ぬかもしれないと何度も思う。

鱗滝「もう教えることはない」

炭治郎「えっ」

狭霧山に来て一年後。突然言われた。

鱗滝「あとはお前次第だ。お前が儂の教えたことを昇華できるかどうか。この岩を斬れたら"最終選別"に行くのを許可する」】

そう言って炭治郎を連れてきたのは注連縄が巻いてある大きな岩のところ。炭治郎は固まって鱗滝を呼び止めるが何も言わず教えず立ち去った。

【俺は鱗滝さんに習ったことを毎日繰り返した。息止めや柔軟など基礎的なことも日記に書いておいて良かったと思った。ただ半年経っても岩は斬れなかった。俺は焦る。兄ちゃんが何回かその間に帰ってきたが「自分で考えてごらん」と言うだけ。足りない。まだ鍛錬が足りないんだ。もっとやらないともっと。俺だめなのかな?禰豆子はあのまま死ぬのか?】

炭治郎「(わーーーーっくじけそう!負けそう!)頑張れ俺!頑張れ!」

?「うるさい!男が喚くな見苦しい」

その声の主は木刀を持って岩の上に座っていた。

炭治郎(!?いつの間に!"匂いがしない"。狐の面……)

その少年は宍色の髪を持ち口元に傷が掘られている狐の面をつけていた。

少年「どんな苦しみにも黙って耐えろ。お前が、男なら男に生まれたなら」

少年はゆっくり岩から飛び降りて木刀で炭治郎を打ち付ける。

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作者名:神夜の羽織 | 作成日時:2020年8月9日 9時

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