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鬼が目覚めて何かを言っているが炭治郎は聞こえていない。やがて太陽の光が差し込んできた。

炭治郎「モタモタしていたら夜が空けてしまった……」

鬼「ギャアッギャアアアギィャアア!」

鬼が日光を浴びて灰となる。炭治郎は思わず口に手を当てると同時に決心した。禰豆子を絶対に日の元に出さないと。禰豆子は既にお堂の中で籠の中に隠れている。鱗滝は鬼によって亡くなった者達を埋葬して手を合わせていた。

鱗滝「儂は鱗滝左近次だ。義勇の紹介はお前で間違えないな?」

炭治郎「は、はい。竈門炭治郎といいます。妹は禰豆子で……」

鱗滝「炭治郎、妹が人を喰った時お前はどうする」

炭治郎の思考回路が全て止まった。何せ炭治郎は禰豆子が人を喰うなど考えてもいなかったからだ。遠くから見ていた縁は炭治郎が何も言えないと悟った。鱗滝は炭治郎の頬を叩く。

鱗滝「判断が遅い。お前はとにかく判断が遅い。朝になるまで鬼に止めを刺せなかった。今の質問に間髪入れず答えられなかったのは何故か?お前の覚悟が甘いからだ。

妹が人を喰った時やるのことは二つ。妹を殺す。お前は腹を切って死ぬ。鬼になった妹を連れて行くというのはそういうことだ」

鱗滝のきつい言葉が炭治郎の耳に入る。だが、それが現実だ。否定することはできない。人を喰ったら抗うことができない結末。

鱗滝「しかしこれは絶対にあってはならないと肝に銘じておけ。罪なき人の命をお前の妹が奪う。それだけは絶対にあってはならない。儂の言っていることがわかるか」

炭治郎「はい!」

鱗滝「……では、これからお前が鬼殺の剣士としてふさわしいかどうか試す。妹が背負ってついて来い」

鱗滝は普通の老人ではありえない速さで走っていく。炭治郎は急いで禰豆子の入っている籠を背負うと走り出す。

炭治郎(速い!この人は一体何歳なんだ。それとやっぱり全く足音がしない!禰豆子揺れるだろうが辛抱してくれ!ああ、辛抱ばかりだったな。禰豆子お前は……きっと人間に戻してやるから。きっといつか綺麗な着物を買ってやる」

ようやく着いたのは木でできている小屋。炭治郎は小屋の前で崩れ落ちて息を整える。

炭治郎「こっこれで俺はっ認めてもらえましたか?」

鱗滝「試すのは今からだ。山に登る」

炭治郎は禰豆子を小屋に寝かすと鱗滝と霧が立ち上る山を登る。山頂ら辺まで行くと鱗滝が振り返って炭治郎を見る。

鱗滝「こここら山の麓の家まで下りてくること。今度は夜明けまで待たない」

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作者名:神夜の羽織 | 作成日時:2020年8月9日 9時

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