俺と彼奴とシンデレラ２ (ページ49)

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君がそうっとギターを取り出して、軽く音を合わせると、すぐにその細い指がキレイな音色を奏で始める。

「A、なんか歌ってよ！」

紫耀が遠慮なくそう言うから、

「あ、俺も聴きたい！いつも歌ってたあの曲歌って！」

俺もそれに便乗してリクエストしてみる。

「久しぶりだから、ちゃんと歌えるかわかんないけど…」

君は紫耀そっくりのくしゃっとした笑顔で、少し恥ずかしそうにそう言うと、

小さく深呼吸をしてから、まるで自分の声を確かめるかのように慎重に声を出し始めた。

久しぶりに歌う君の姿に、久しぶりに聴く君の歌声に、俺と紫耀は二人して目も耳も釘付けになる。

"はじまるはじまる
今日からいつかがはじまる
いつかがやっと今ここに"

これから、君はまた夢を追い始めるんやろう。

忘れんといて欲しい。

君の夢は、もう君だけのものじゃないって。

覚えといて欲しい。

俺が…いや、たぶん紫耀も、

君の歩む道がいつも、君が夢見た"いつか"であることを願ってるって。

はじまる。

君と俺とで、いつかを始めよう。

君と俺と紫耀とで、今日からいつかを始めよう。