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君が働いているコンビニ。
いつもの軽快な入店音が、今日はやけに耳につく。
「いらっしゃいませ。」
比較的空いている店内に響いたのは、少し掠れた君の声。
レジで接客をしながらチラッとこっちを見たけれど、俺やと気付いている様子はない。
それすら不満で、マスク越しに大袈裟に咳払いをしてレジの前を通る。
特に買う物なんてない。
君に会いに来ただけ。
いつかと同じように、適当にパッと目についたガムを手にとる。
けれど、その時ちょうど君の咳が聞こえてきて、俺はそれを元の場所に戻し、一段下にあるのど飴を手にレジへ向かった。
「お待たせしました。103円です。こちらテープでよろしいですか？」
そう言って顔を上げた君とバッチリ目が合う。
「え…」
やっと俺やと気付いた君は、大きく目を見開いたまま固まってしまった。
「Suicaで。」
「あ、はい…」
何食わぬ顔で支払いを済ませる俺を前に、明らかに動揺している君。
ちゃんと寝ときって言ったやん。
なんでバイトなんかしてんねん。
ホンマに体大丈夫なん？
てかなんで連絡してこんのん？
言いたいことも聞きたいこともいっぱいあったけど、近くで揚げ物をしているもう一人のスタッフや他のお客さんの手前、話し込むことはできひんくて、
「何時？バイト終わるの。」
小さな声でぼそっとそう訊いた。
「10時…」
そして気まずそうに俯く君を前に、俺は溜め息を吐き、
「…あとで説教な。」
そう言ってさっと君の手を取り、のど飴を握らせると、すぐに店を出て待たせておいたタクシーに乗り込んだ。
22時…
俺の方が先仕事終わるな。
てか女の子やのにちょっと遅くまで働きすぎじゃない？
いや、そんなことはないか…
友達の彼女は居酒屋で夜中まで働いてるみたいなこと言ってたし。
でも、俺Aには、
自分の彼女にはそんな遅くまでバイトして欲しくないっ！
やっぱ帰りとか心配やし…
うん、他にも色々…色々心配や！
"間に合う？"
"今戻ってるから大丈夫。"
心配してくれている紫耀にそう返すと、俺は君とのトークルームを開き、
"帰り迎えに行くから。勝手に一人で帰らんように。"
とメッセージを送った。
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作者名：P | 作成日時：2018年9月19日 22時
