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とにかくすぐにかけ直そうと、君がまだ眠っていることだけ確認してリビングへ移動する。
ドアを閉めた直後、見計らったかのように、表示させていた着信履歴が紫耀からの着信を知らせる画面へと変わり、
俺はすぐに指をスライドさせて、
「はい…」
ばつの悪い思いでそう応える。
すると紫耀はあからさまに深いため息を吐いた後、心底呆れたという様子でこう言った。
「廉君。俺んちとお前んちって、時差あったっけ？」
事情を何も知らん紫耀が呆れるのも無理はない。
「いや…ないです…」
寝ている間に君の門限である0時は1時間以上も前に過ぎていて、あれだけ念を押されたにも関わらず、結果的に俺は初っ端からそれを無視したことになってしまったんやから。
「じゃああれか。廉君、時計の読み方忘れちゃった？」
「いや…忘れてません…」
「そっか。てことは今何時か知ってる？」
「1時40分…です…」
「俺何て言ったっけ？覚えてる？」
「門限は0時と…」
「さすが廉君、よくわかってんじゃん。」
「はい…すんません…」
「で、今どこ？」
「え、あ…今…俺んち…です…」
「…」
「…紫耀？」
急に静まり返った電話の向こう。
あれ？切れた？電波悪い？
そう思ったのも束の間、
「はぁーーーーーーっ？！家？！ふざけんなっ！何無許可でお持ち帰りしてんだよっ！！！変態野郎！！だいたいお前は」
「紫耀っ！待って！ちゃうねん！俺の話聞いて！！」
電話越しとは思えない、耳元すぐそばで怒鳴られているかのような迫力に、思わず携帯を耳から少し離して紫耀の言葉を遮る。
「言い訳は後で聞く！とりあえずAに代わって？彼奴も全然電話出ないんだよ。」
「いや…Aまだ寝てるから…」
「はぁっ？！寝て…寝てる…っ？！」
「ちゃうちゃうちゃう…そういう意味ちゃうから！A熱があんねん。」
「熱？！」
「うん。家の鍵忘れたって言うし、紫耀も電話出んかったからとりあえず俺んちで寝かせたんやけど、その後俺も寝落ちしてもてん。
それで紫耀からの電話も気づかんくて…」
やっとのことで事情を説明すると、さっきまでギャグみたいなオーバーリアクションばかりしていた紫耀が、
「すぐそっち向かう。」
急に真剣なトーンでそう言って、一方的に電話を切った。
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作者名：P | 作成日時：2018年9月19日 22時
