検索窓
今日:2 hit、昨日:23 hit、合計:24,758 hit

25-6 〈続き〉 ページ7

.

木の上から伏木蔵を眺める雑渡は、彼が増水する川に近づき覗きこんだことに肝を冷やした。そんなに近づいてもし落ちたらどうするんだと、忍術学園はもっとちゃんとした指導をするべきだと抗議しに行こうかと思った程である。


「あの場に私がいなかったらキミは今頃あの濁流の中だよ?」

「うぅ……本当に助けてくれてありがとうございます……」


伏木蔵が不運を発動させ川へと落ちそうになったのをいち早く察知した雑渡は、素早く木の上から飛び降り伏木蔵を抱えて川から離れた。

そのとき近くの岩に飛び乗ったのだが、雨で地盤が緩くなっていたのかぐらりと揺れた。すぐさまその岩から降り走り去ったが、背後でドボンッと聞こえたのであの岩は多分あのまま川へと落ちて行ったことだろう。


「お礼を言えるのは良い事だ。それで、結局何でこんなところにいるんだね?」

「実は……」


伏木蔵はどうして自分がひとり森を彷徨っているのか、その理由を昼間伊作と共に薬草を取りに来たことから話した。


「僕が伊作先輩に何も言わずにひとりで行動しちゃったのがいけなかったんです……」


そしてしょんもりと俯いた。

雑渡は自身の膝の上で落ち込む伏木蔵をどう慰めれば良いのかイマイチわからなかった。なのでとりあえずその頭に手を乗せてみた。


「確かに勝手にいなくなったら伊作くんも心配しているだろうね」

「やっぱりそうですよね……」

「一緒にいる人と離れるときはその人に声をかけてから離れた方が良いよ。まあ私が言えた事じゃないんだけどさ」


空気を読んで、尊奈門がいつもそうやって口うるさいんだよねという言葉は飲み込んだ。


「それ、前にお姉ちゃんにも言われました」

「……お姉ちゃん?」

「そうだ、僕もう勝手にどこか行かないってお姉ちゃんと約束したのに破っちゃったんだ……」

「伏木蔵くん?」


急に静かになった伏木蔵を不審に思った雑渡は、どうしたのかと顔を覗いた。すると、なんと伏木蔵の目には涙が浮かんでいるではないか。

そして間髪を容れず、


「うわぁーーん!!ごめんなさいぃいいいい!!」


伏木蔵は大声で泣き出した。

雑渡は思わず耳を押さえながら後ろに倒れた。

25-7→←25-5 〈別の洞窟内〉



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (77 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
160人がお気に入り
設定タグ:忍たま , RKRN , 鶴町伏木蔵
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

レオン(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます。続きを更新しました!続編にてご覧ください。 (2022年8月3日 15時) (レス) id: bc25bf8dca (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年7月30日 14時) (レス) @page47 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます!更新を喜んでいただけて嬉しいです!これからも頑張ります!!またご指摘もありがとうございます。訂正いたしました! (2022年7月5日 21時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 更新嬉しいですー! 29-6の夢主さんの説明のところ「高いく」は「高く」ではないでしょうか? 一応お伝えしときます。これからも無理のない範囲で頑張って下さい! (2022年7月5日 16時) (レス) @page34 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - マイさん» コメント、そして応援ありがとうございます!面白い、好みと言っていただけてとても嬉しいです!!これからも頑張りますのでお楽しみいただければ幸いです! (2022年7月3日 10時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:レオン | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2022年6月21日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。