初めての夜2 ページ5
「ある夜突然辰哉が
私の家に来てね。
SnowManに迷惑かけたくない。
私を傷つけたくないから
別れて欲しい。そう言われた」
「Aちゃんはすぐに受け入れたの？」
「受け入れられなかった。
、、大好きだったから。
辰哉と一緒に居て傷つくことは
嫌じゃなかったから。
だから、大丈夫だよって。
私、辰哉の負担にならないようにする。
そう縋ったんだけど。」
「、、、うん。」
「辰哉の答えはＮＯだった。
彼女っていう存在が負担なんだ。
そう言われて、何も言えなかった。」
あの日、辰哉が家に来た日は
ものすごい雨で。
その雨の音は未だに
耳の奥にこびりついている。
あの後すぐに家を引っ越した。
彼との思い出が詰まったあの部屋は
私には苦しすぎる空間だった。
あの時辰哉の背中を追えるほど
私も出来た女じゃなくて。
「辰哉の背中を見送ることが
私に出来る最後のプレゼント？
なのかな〜って」
そう言うと目黒くんは
「俺さ、馬鹿だから
男女間のそういう複雑なの
あんまりよく分かんないけどさ。
Aちゃんがめっちゃくちゃ
いい女だってのは分かった！」
だから自信持ってよ！ご主人様？
とまた目黒くんは笑う。
「昔話してる間に着いちゃったね〜」
「ここ！？
俺の新しいお家！？」
家の扉を開けると
目黒くんは
「たっだいま〜！」
と靴を脱いで行ってしまった。
「、、本当にペットみたい」
目黒くんが脱いだ靴を揃えて
リビングに向かうと
床に可愛いく体育座りした目黒くんが
私を見つめていた。
「ねぇ、俺の名前つけてよ」
「え？名前？目黒蓮くんでしょ？」
「ちーがーうー！！
ペットの愛称ってあるじゃん？
ほら、自分の好きな人の名前とか
好きなタレントさんの名前とか！
きなこちゃんとかここあちゃんとか！」
「え〜、、目黒くんじゃダメなの？」
「目黒くんは、ほら。
なんか他人っぽくない？」
他人なんだけどな、私たち。
なんて思いながらう〜んと考える。
「あ。」
「なに！？なんか思いついた？」
「、、、じゃあ、蓮って呼び捨てしていい？」
「え〜なんかもっと可愛い名前が
よかったんだけど、俺〜」
そう言うと彼はほっぺを
ぷくっと膨らます。
「だってペットなんて飼ったことないし
思いつかないんだもん」
「じゃあいいや！蓮で！」
これからよろしくお願いします。
ご主人様、と可愛く首を傾げた。
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作者名：あやぴ
| 作成日時：2021年9月7日 3時
