再会 ページ1
「え？」
「だから今日から
この雑誌のアシスタント！」
そう言って目の前の上司は
雑誌を指さした。
「これ、アイドル雑誌、、」
「なにか問題あるの？」
「、、いえ、大丈夫です」
言えない。
メイク兼スタイリストになって数年。
アイドル雑誌だけはここ2年
避けて通ってきたなんて。
会いたくない人がいるだなんて。
今までずっと女性誌が担当だったのに
なんで急にアイドル雑誌、、？
まさか、そう思いながら
現場に向かう足取りはかなり重い。
「今日からお世話になります」
そう言って頭を下げると
周りのスタッフさん方は
優しく迎えてくれた。
「とりあえずもうメンバー待ってるから
順番にお願い出来ますか？」
そう言われてメンバーとは？
と頭にはてなマークが浮かぶ。
「A？」
「、、え」
「やっぱAじゃん」
そう言って目の前で笑うのは
私の大嫌いな人。
「、、たつや、、、」
「なに？メイクAになったの？」
そう言って笑う顔は
あの頃と何も変わってない。
ずっと、大好きだった人。
「あ、今日から3誌担当することに
なったので、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げると
目の前の辰哉は嬉しそうに笑った。
「まじ？
じゃあ、またちょくちょく会えるね？」
なんか綺麗になった？
なんて笑う辰哉。
そう。
辰哉のこういうとこ、本当にずるい。
「俺今SnowManに
迷惑かけたくないんだ。
それに、Aのことも傷つけたくない」
そう言って2年付き合った辰哉は
私の前から姿を消した。
当時の彼は今思えば
私なんて眼中に入れられないほど
忙しかったんだろうとは思う。
でも、あの時あの瞬間
私の辰哉との出来事は全て思い出に変えた。
出会いは簡単だった。
初めて担当したメイクが
深澤辰哉だった。
「新人さんですか？」
そう言って綺麗な顔で笑った辰哉の
かっこいい顔は未だに思い出す。
同い年だと分かり、お互い想うのに
時間はそこまで必要なかった。
アイドルと一般人の私。
たくさん不自由なことはあったけど
そんなことも感じないほど
辰哉は【良い彼氏】だった。
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作者名：あやぴ
| 作成日時：2021年9月7日 3時
