5話 ページ6
カンカンカンと静かなデパートに自分の足音が響き渡る。
なんだか不気味だ。
4階まで上がったところで一旦休憩を挟む。
チラリと壁を見るとイベントの告知用ポスターが掲示されていた。
《あのビッグジュエルが、デパートにやってくる!?》というデカデカとした見出しが目を惹く。
どうやら、宝石展がこのデパートの7階にある特設ブースで開催されているらしい。
まぁ、今の私にはそんなのどうでもいい。私の今回のお目当ては宝石よりもシャー芯なのだ!
休憩も挟んだところで階段を一気に駆け上がり、7階の文房具エリアを目指した。
◆・◆・◆
疲労の限界を当に超えている足でなんとか7階まで辿り着くことができた。
あとは文房具エリアへ行くのみ。
それにしても7階は他の階に比べてなんだか騒がしいような気がする。
遠くから「おい、そこも警備を怠るなよ!厳重にな!」といった類の話し声が聞こえてきた。
警備?、厳重?
なんだか物騒だなと思いながら足を動かそうとした瞬間…
『……っ!?』
口に布の様なものを押し当てられた。
「少し手荒ですがお許しを」と背後から声が聞こえる。
抵抗するため腕を振り上げようとしたが、急に眠気が襲いかかってきて体に力が入らない。
全身が脱力した感覚に襲われ、ガクンと体が地面に倒れ込んだ。
「おっと…」という驚いた声と体を支えてられている感覚は辛うじて認識できたが、どんどん意識が遠のいていく。
瞼が重い…。
なんだかふわふわする…。
そして、そのまま私は意識を失ってしまった。

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作者名:きょん | 作成日時:2024年5月31日 2時