44話 ページ45
放課後、気分転換にいつもと違う道で帰ることにした。
今日はなんだか、気持ちが落ち着かない1日だったなと振り返る。
黒羽くんに直接聞く勇気もなく、モヤモヤしたままでもある。
かと言って、キッドの正体をもし突き止めたとしても私はどうしようもないだろう。
じゃあ、なぜこんなにも釈然としないのか。
この複雑な心境を相談できる相手もおらず、当本人にも確認できずで自分の中で不安要素が募ることが怖いのか。
なんとも言えない感覚に耐えられず、ため息が出る。
少しブルーな気持ちで歩いていると、突然前を歩いていた人がその場にしゃがんみこんでしまった。
私は動揺しながらも、すぐさまその人の元へ駆け寄った。
『大丈夫ですか…！？』
そう言って私は様子を伺った。
顔をチラリと覗くと優しそうなおじいさんだった。
「あ、ありがとうございます…。少し腰に痛みを感じてしまって…」
『立てますか？私が支えますよ！』
「お嬢さんにご迷惑をお掛けして申し訳ない…」
私はおじいさんの体を支えながら『大丈夫ですよ！迷惑だなんて思わないでください…！』と伝えた。
『どこか行かれる予定だったんですか？』
「いえ、お店の買い出しの帰りだったのですが、この有様で…」とおじいさんは眉を下げた。
確かに、重そうな買い物袋がおじいさんの近くにある。
『お店はどちらですか？そこまでお送りしますよ！』
私がそう言うと、彼は少し目を泳がせ気まずそうな表情をした。
「お恥ずかしながら……ここなのです…」
そう言っておじいさんが指したのは目の前のお店だった。
看板には“ブルーパロット“の文字。
お店はどうやら二階にあり、階段を登らないといけないようだ。
『二階まで一緒に行きましょうか！』
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作者名：きょん | 作成日時：2024年5月31日 2時
