怪盗さんが気になるあの娘 (ページ34)

今日:51 hit、昨日:87 hit、合計:162,673 hit

33話ページ34

次の日。

忙しない昨日とは一変して何事もなく平穏に1日が過ぎていく。

昨日の出来事はまるで幻なのでは…？と疑うくらいだ。

そして訪れた掃除の時間。

私は教室掃除で箒を使って床のゴミを集めていた。

ハックシュン！！！！

突然、大きなくしゃみの音が耳に入ってきた。

音のした方をを見ると、黒羽くんがフルリと身震いしていた。

近くにいたのもあって『黒羽くん、大丈夫…？』と心配の声をかけてしまった。

「お、おう…」と言いつつ彼は寒そうにしている。

全然大丈夫そうに見えないんだけどと思わず苦笑いしてしまう。

「快斗ってば、昨日クイーン・セリザベス号の見物行って海に落っこちたんだって〜」とぴょっと横から現れた青子ちゃんが説明してくれた。

彼は「るせー、青子」と不機嫌そう。

『う、海に落っこちた…！？って、それ大丈夫なの？』

「へーきへーき」

「ほ〜んと、おばかだよね快斗は！キッドなんて応援してるからバチが当たったのよ！」

幼馴染お二人さんはお互い睨み合い、火花を散らしている。

『黒羽くん、キッドのファンなの？』

「あ、え、まぁ…ファンというかなんというか、そうだな…そんなとこ！」

『そうなんだ！私もキッドのファンなの！』

「ちょ、ちょっとAちゃん！ダメだよ！キッドは泥棒なんだよ！」と青子ちゃん。

そういうと青子ちゃんは、キッド反対派だったな…と思い出す。

あ、じゃあこの話タブーだったかなと思わず口に手を当てた。

「キッド反対派なんて、青子と警察くらいしかいねーよ！んなことより、キッドのどこが気に入ってんの？」

黒羽くんの質問にう〜ん…と考える。

『ミステリアスでかっこよくて、マジックがすっごく上手なところかな…？』

それを聞いた彼は「ふ〜ん」と満更でも無いご様子。

『なんで、黒羽くんが嬉しそうなの…』

様子のおかしい彼をジト目で見る。

「いーや、べっつに〜？ま、この黒羽快斗サマだってマジックくらいお手のもんだぜ！」

そう言って、ポン！と手元に一輪の白い薔薇を出現させた。

『わ！すごい！』と目を輝かせているとズイッとそれを差し出され、受け取った。

何だか怪盗キッドみたいだな…とフフッと笑いをこぼした。