26話 ページ27
真田さんがステージ上に上がり、トランプを軽やかに切り出した。
「では、最初に簡単なカードマジックから」
すると突然「ちょい待ち、俺は昔から疑り深いタチなんでね」と言ってある男性が真田さんの方へと歩いて行く。
「そのカード、俺に切らせてくれないか?」
「ええ、構いませんよ。よかったら他の方もどうです?」と真田さん。
そして、数人がトランプカードを切り、怪しいところが何もないか確かめる。
園子のお姉さんの婚約者である富澤さんは不慣れなのか、カードを切る途中にバラバラと地面に落としてしまった。
それを私と蘭と園子で拾い集めた。
カードが揃ったことを確認し、真田さんへと手渡した。
「ありがとう、お嬢さんたち。お礼にカードを一枚差し上げましょう」
「えぇ?いいんですか?」と蘭がカードを取ろうとすると真田さんが「待った!」とそれを制止した。
「その前に、私の透視眼で君たちの心を見透かして選ぶカードを予言しよう!」
本当に透視なんてできちゃうの…?と内心ドキドキする。
真田さんはこめかみに指を当て、考えるポーズをする。
彼が「う〜ん」と唸った後、手から飛び出してきたのは一羽の白い鳩だった。
「鳩、ハト、ハート…じゃあ、ハートのエースということで!」とダジャレのようなことを真田さんは言い放った。
周りの人たちは面白がり、どっと笑いが沸き起こった。
私はというと、“ハートのエース“という単語にドキリとしてあまり上手く笑えなかった。
この前キッドからもらったカードの模様と一緒だな…なんて考えていると真田さんはカードを私たちの前に差し出していた。
「蘭!右、右!!右のやつ!」と言う園子の言葉通り、蘭は一番右端のトランプを取った。
トランプカードの模様を確認するべく蘭の手元を覗き込む。
そこに書いてあったのは…
クレオパトラに
魅了された
シーザーのごとく
私はもう
貴方のそばに
怪盗キッド

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作者名:きょん | 作成日時:2024年5月31日 2時