怪盗さんが気になるあの娘 (ページ26)

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25話ページ26

快斗side

ふと、隣を見ると顔を青ざめさせた志水が立っていた。

流石に心配になって声をかけた。

彼女は大丈夫だと話しているが、明らかに恐怖で足が震えているのが分かる。

そのことを伝えると、『う、嘘です……めちゃくちゃ怖かった…』と白状した。

冗談でもこんな現場を一般人が目撃したら、恐怖を感じるのも無理はない。

続けて彼女は『キッドが撃たれて死んじゃったのかと思ったんだもん……』と思いがけない言葉を口にした。

あんな簡単に倒れてたまるかよ……と心の中で思いつつ、キッドに何か思い入れでもあるのかと尋ねた。

すると志水は急に恥ずかしそうにしながら目を泳がせた。

頭にクエスチョンマークを浮かべていると耳元で『この間、怪盗キッドに偶然出会ってファンになっちゃったの！』と囁かれた。

……………………へ？

ファン…？

志水が怪盗キッドのファン……？？？

予想外の答えに思考が停止してしまう。

彼女の心配そうな声で我に帰った。

あっっぶね……思わず素がでちまうとこだった。

“いつ何時たりともポーカーフェイスを忘れるな“と自分に言い聞かせた。

志水がデパートでの出来事をどう思っているのか気になって、探りを入れてみた。

しかし、『あー、それは答えられないかも』と俺に困り顔を見せてきた。

思わず「どうして？」と聞き返してしまう。

『私とキッド、二人だけの秘密だから…！』

彼女は表情を緩め、そう言葉に表した。

今までただのクラスメイトとしか認識していなかった存在。

目の前で茶目っ気たっぷりに笑う彼女に目を奪われる。

こんな彼女、俺は知らない…。