23話 ページ24
園子ママは今までの出来事を説明した後、マジシャンの真田さんと言う方を紹介した。
動揺しすぎて、説明に集中できない。
あまりにも心臓に悪い余興だ…。
私の様子を見て心配してくれたのか「A、大丈夫…？」と蘭が声をかけてくれた。
『あ、うん…大丈夫、ちょっとビックリしただけだから』
「ほんと…？足震えてるよ…」
自分の足元に視線を向けると確かに小刻みに震えていることがわかった。
耐えきれなくなって『う、嘘です……めちゃくちゃ怖かった…』とほんとのことを打ち明けた。
『キッドが撃たれて死んじゃったのかと思ったんだもん……』
半泣き状態で私は蘭にそう話した。
「キッドに何か思い入れでもあるの…？」
蘭の質問にドキリとした。
思い入れというか何というか…。
『えぇっと…実は…』
「実は…？」
言うのが恥ずかしくなってきた。
私は蘭の耳元で『この間、怪盗キッドに偶然出会ってファンになっちゃったの！』と囁いた。
誰かにキッドファンになったことを明かすのはこれが初めてだ。
私の予想に反して、蘭は「へ……」とハトが豆鉄砲を喰らった顔をしていた。
『ら、蘭…？』と彼女の様子をうかがうと気を取り直したのか「な、何でもないよ…！その時はキッドに何かされなかった…？」と話し続けた。
あの時はほんとに色々あったな……警察に追いかけられるは、キッドに抱えられながら空を飛ぶは…。
蘭にそのことを話そうとするが、去り際に彼に言われたセリフを思い出し、口をつぐんだ。
“今夜のことは二人だけの秘密です“
『あー、それは答えられないかも』
「どうして？」と蘭は不思議そうな顔をする。
そんな彼女にフフッと微笑みかけ、自分の口元に人差し指を当て『私とキッド、二人だけの秘密だから…！』と言った。
「蘭、A！真田さんのマジックショー始まるわよ！前で見ましょうよ！」と園子が私たちを誘う声が聞こえた。
私は『ほら、蘭！行こ！』と言って彼女の手を掴み、前を向いて園子の方へと向かった。
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作者名：きょん | 作成日時：2024年5月31日 2時
