22話 ページ23
合言葉を決めた次の瞬間、パーティー会場の照明が落ちてしまった。
同時に男性の高らかな笑い声がどこからか聞こえてきた。
そして、煙がシューッと音を立てて湧き出したかと思うと、白い衣装を身に纏った男性が現れたのだ。
まさか、怪盗キッド…?!
「合言葉なんて無駄ですよ。すでに
不敵に笑いながら彼は黒真珠を投げてキャッチした。
「おやおや、困った泥棒さんだこと…。ああいうイタズラ坊主にはお仕置きしてあげなくっちゃ」
園子ママがそう言った刹那、銃声が会場に鳴り響いた。
大きな音に耳を塞ぐ。
撃たれた怪盗キッドは崩れ落ちていった。
次に明転したかと思うと、出席者の悲鳴があちこちで上がった。
そこに注目すると、怪盗キッドが仰向けで倒れていた。
思わぬ出来事に、心臓の鼓動が急激に早くなる。
体が強張ってその場から動けない。
『キッド………?』と私は静かに呟いていた。
「あ、あんたなんて事を…!!」と中森警部が動揺している。
それに対して銃を撃った張本人の園子ママは「心配ご無用ですわ、警部さん」となぜか落ち着いている。
「だって、彼はまだ………生きてますもの」
「えぇ?!」と中森警部が驚きの声を上げた後ろで、倒れた人物がむくりと起き上がった。
「うちのガードマンがテーブルクロスで彼を受け止めたんです。このモデルガンで撃たれたフリをした彼をね………そう、彼はこの余興のために私が雇った天才マジシャン、真田一三くんですわ!」

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作者名:きょん | 作成日時:2024年5月31日 2時