怪盗さんが気になるあの娘 (ページ13)

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12話ページ13

次の日の朝、眠たい体を引き摺りながら私は学校へと向かった。

昨日の件で、全身は筋肉痛。

あんなに走り回ったり、階段を駆け上がったりすることはもう一生ないだろうと思う。

寝つきも悪く全然疲れが取れなかった。

これは、あのキザな怪盗紳士のせい。

一晩経った今でも昨日の記憶が鮮明に蘇る。

私は彼から貰ったトランプカードを鞄から取り出し、見つめた。

そして、『はぁ…』と小さくため息をついた。

◆・◆・◆

快斗side

くあぁ…と大きなあくびを一つかますと横から「快斗、話ちゃんと聞いてるの！？」と幼馴染の怒った声が聞こえてくる。

「はいはい、聞いてるっつーの」と軽くあしらう。

こっちは昨日も怪盗業のおかげでよく眠れてねぇんだよ。

昨日と言えば、ちょっとしたハプニング？があったなと思い返す。

そう、現場にクラスメイトの志水Aがいたこと。

デパートで開催されている宝石展でビッグジュエルが展示されることをジィちゃん調べで知り、“閉店時刻と同時に盗む“といった予告状の元、盗みを実行したのだ。

警察の指示で一般客を現場に近寄らせないため、デパートのエスカレーターやエレベーターは停止されていた。

が、わざわざ階段を上がって、7階までやって来たヤツが1人いたわけだ。

ちょうど良いところに現れたため、彼女の姿を借り、あたかも間違って7階に近づいてしまった一般客を装った。

おかげで宝石をスムーズに手に入れることができた。まぁ、お目当てのものではなかったけど。

屋上へ向かいそのままハンググライダーで退散しようと考えていたら、なんと彼女が屋上にやって来たのだ。

驚きのあまり、素が出そうになったがポーカーフェイスでなんとか保った。

疲れている様子だったため、キッドだと間違われ警察にでも追いかけ回されたのか、と推測する。

気の毒だなと哀れんでいるとその隙に警察にも追いつかれてしまった。

中森警部は俺が警官に変装しているとも気付かず、まだ志水のことを疑っていた。

必死に弁明している志水を見て少し申し訳なくなり、警官の変装を解く。

そして、怪盗キッドは自分だと明かし、彼女を連れてハンググライダーでその場を後にしたのだ。