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「A」






真っ暗な空間の中を歩いていると
誰か呼び止められた



ゆっくり振り返りその人物を見る

所々靄がかかっているというか、全体的にぼやってとしている




でも、赫灼の子だ ってことは







「…炭、治郎?」

「そっちに行っては駄目だよ」







赤い瞳にじっと見つめられる

どうして炭治郎がここに居るの?





「A、帰らなきゃいけない場所があるだろう?」





変わらぬ笑顔で言われても 分からない

家族がいない私が帰るところなんてないんだよ炭治郎






「幼い時に言ったはずだ
Aを間違った道に行きそうな時は
俺が必ず助けるからって」






今がその時なんだと言って柔らかく私に笑いかける






「どうして炭治郎がそのことを知って…」






言いかけて気づいた

違う 炭治郎じゃない

その約束をしたのは




「…兄、上?」


「Aが帰るところはもうあるはずだ
そっちじゃないんだよ」



赫灼の子が姿を現す

そうだ 兄は赫灼だ
いつも羨ましいと言っていたのを思い出した





「家族がいない私に帰る場所なんてないよ」


「相変わらず頑固だね。良くも悪くも」






「じゃあ、Aが大事そうに握っているのは何?」





そう言われて初めて
自分の右手が何かを力強く握っていることに気づいた




恐る恐る見てみると






「鍔…」





アネモネをイメージして作られたもの
光の当たり具合で赤色にも紫色にも見え キラキラと輝く






「それを見れば思い出せるでしょ?

…その鍔をくれた人がAを待ってる」






ハッとした

驚くように兄を見れば、ようやく思い出したかと言わんばかりにこっちを見ていた





「1人にさせてしまってすまない
兄ちゃんはいつでも、Aのこと見守っているからな」




「兄上、ッ!」




「ほら、もう行きなさい」





.


.






「兄…う、え」




聞きなれたはずのその声を聞いたのは2ヶ月半後だった




思わず顔を上げる





俺が握っていたAの右手がギュッと握り返され
真紅の瞳からボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちた




指で涙を優しく掬ってやると擽ったそうに目を細めて笑うA

柄にもなく、愛いだなんて思う




「よく帰ってきたな、A」


「師範、…ただいまッ」


「あぁ、おかえり」






.


「Aちゃぁぁぁああん!!」

「A!」

「メラメラ女!!」


目が覚めたあとめちゃめちゃ抱きしめられた


.

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バナナ - とても面白かったです!更新待ってます! (2023年1月28日 16時) (レス) @page35 id: 4cea2a0701 (このIDを非表示/違反報告)
柴茶(プロフ) - 雨ノ宮紗綾さん» なんて初歩的なミスを....すぐに直します。ご指摘ありがとうございます! (2020年7月7日 22時) (レス) id: 6287ce3eb6 (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮紗綾 - あの…無一郎の時透は『時任』ではなく『時透』ですよ… (2020年7月7日 18時) (レス) id: 83427b663d (このIDを非表示/違反報告)
柴茶(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます!!褒め言葉嬉しいです!これからも頑張りますね(^^) (2020年7月5日 0時) (レス) id: 6287ce3eb6 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 最高すぎる!更新頑張って下さい! (2020年7月4日 15時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柴茶 | 作成日時:2019年11月15日 22時

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