二十一歩 ページ21
今日は仕事はなく、休みだ。
それだけでなんだか身体と心が軽く、
目覚めも悪くなかった。
毎日仕事、仕事、仕事とつぎ込んできたが、
そもそも高専に入っている間も
パソコン作業やバイトをしてきた経験はない。
慣れないことを詰め込みすぎたせいか、
自分が思っている以上に疲れているのだと感じた。
(プルルル…)
『ん?』
気持ちよく起きると、
枕元に置いてある携帯が鳴る。
見れば、
またいつもの非通知。
『…めんどいな』
そう呟きを、
応答するだけして机に放り出して放置した。
休日を邪魔されてたまるか。
今日はやりたいことだけやって過ごそう。
・
テレビや映画を見ながら、気ままに過ごす。
こうして何もせずにゆっくり過ごすのは
本当に久しぶりだった。
『…ん、腹減ったな』
朝から軽いものしか食べていなかったからか、
ぐぅとお腹が切なそうに鳴った。
とはいえ、作るのも面倒だ。
だけど、食パンは前日に食べ終わったばかりで、
簡単なものすら置いていない状態だった。
仕方ない。
コンビニでも行くか。
そう決意し、
上着を着ると財布だけ持って家から飛び出す。
外は寒くて、はぁと白い息が目の前を覆う。
雪が降ったのか、ザクザクと足音がやけに大きい。
でも、その感覚は好きだった。
・
コンビニに着くと、
カゴの中にパンやカップ麺、
飲み物など手軽なものをホイホイと入れた。
こんな寒い中、度々外出するのは嫌だからな。
外よりかは暖かい店内を歩き回る。
しかし、その足はあるものを見てピクリと止まった。
「…ア……ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…?オニッタン…ドコォ…?オ?」
『…』
コンビニの中を歩き回る呪霊。
四足のソイツはキョロキョロしながら、
ぺたぺた足音を立てる。
別になんてことない下級呪霊だ。
人に害はなさず、
ただ嗚呼やって彷徨い歩いているだけだろう。
祓う必要は無い。
俺には関係ない。
くるりと踵を返して、会計に向かう。
「お会計_____円です」
『…』
財布からお金を出し、会計を済ませる。
買ったものをバッグに入れて、出口へ向かった。
もう一度振り返る。
「オオオオオオ…?オニ、オニタン?…ン、ン?」
『…』
こてんこてんと首を何度も傾げる呪霊。
だが、祓うことなく、
自動ドアは俺とソイツの間に境界線をはった。
もう俺には関係ない。
そう言い聞かせて早足で家に向かった。
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理 - 続き待ってます! (9月18日 1時) (レス) id: 61fc42598e (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年7月12日 21時) (レス) @page36 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
すめし - 好きすぎる、、、 更新頑張ってください!! (2022年3月17日 21時) (レス) @page36 id: b2ccf5b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえ - 続きが気になりすぎる…!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 13f7b558a6 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 更新待ってます。 (2021年6月22日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かるーあ | 作成日時:2020年12月27日 9時