おもちゃ箱【×ym】 (ページ15)

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「有岡くん、どうしたの？こんな道の真ん中で………って、涼介？」

髙木に名前を呼ばれた、涼介、という彼はビクリと肩を震わせた。

「…もしかして、涼介、おまえ…。」

髙木の声がだんだん低くなっていく。

その声には、いつも一緒にいる俺でさえブルリと寒気がしてしまうほど。

「ちが…っ、俺は、この人とデートしてただけだもん…っ！！」

ぎゅっ…と俺の腕に自分の腕を絡ませてくる、涼介。

おい、さっきまでちんちくりんとか言ってたじゃねえか。

飽きれてため息が出そうになったが、このままだときっと怒られるんだろうなと思って、

「そう、デートしてた。…ところで、髙木は？」

話題を変えて。

すると、髙木の後ろからひょこっと顔を出したのは…

「やっほ～、だいちゃーん」

「いのちゃん？！」

保健医の伊野尾慧先生だった。

「休みだし、デートでもしたいってなったんだけどさ。あんまり、人通りの多いところは行けないから…。」

恥ずかしそうに頭をかく髙木に、ねー？と首を傾げるいのちゃん。

2人ともとっても幸せそうで、見ているこっちが胸焼けするほど、甘い。

……でも、ほんの少しだけ、俺の腕を掴む力が強まったのが分かった。

「…っ、そっか。じゃあ、お幸せに～！俺らもデートだからさっ、行こっか？涼介」

「ごめんね、有岡くん。涼介のことよろしく！」

それだけ言うと、髙木は再びいのちゃんと歩いて行ってしまった。