今度は指にして？【arym】 (ページ47)

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山田side

クレープを食べ終え、各クラスの展示を見て回る

山「あれ？知念？」

美術部の展示の所にいたのは知念

なんだか嬉しそうに誰かと話している

有「あ、知念じゃん。なにしてんだ、あいつ？」

大ちゃんも不思議そうに首を傾げる

そんな俺たちに気づいたのか驚きながら小走りに駆け寄ってくる

知「！？なにしてんの、こんなとこで！」

有「いや、知念こそ！ちゃんと見てろよ！」

知「ばっ！それは言っちゃだめでしょ！？
っていうか見てたよ！」

有「じゃあなんでこんなとこにいるんだよ？」

見てたってなにを？

ふたりの会話の意味が分からず、話に入れない

俺を抜きにして、ふたりは話し始めてしまったので
俺は仕方なく、美術部の展示を見に行くことにした

「あれ？」

そんな素っ頓狂な声をあげて美術室に入った俺を迎え入れたのは

山「光くん！」

八「山田、こんなとこでなにしてんだ？」

山「知念にこの教室の前で会ったんだけど、大ちゃんとなんか話してて入れないから見にきたの」

すると光くんはああ、と頷いて

八「きっと、知念の目的は大野先輩だよ」
山「大野先輩？って誰？」

知念の口からは1回も聞いたことのない名前が出てきて面食らう

八「さっき、この教室の外にいただろ？」
山「あの、話してた人かな」

光くんは俺の手を引いて、廊下に連れ出した

八「あの人だよ、すげーんだ。コンクールとかでも賞取ったりしてて美大に進むのかもって話も出てる」

光くんが指さしたのは

穏やかそうな笑顔を浮かべていて
とても賞を総なめにしている人とは思えない

そのとき、だった

山「……っ！！！？」

カクンっと膝の力が抜けるのがわかる

あいつらが……

あいつらがいる……っ

大野先輩のすぐ横を通り過ぎただけだけど

心臓が早鐘を打つ

……なんでここに……っ！！！？