ヒーローがログインしました！season4【歌い手】

ヒロイン！１５９ ページ20

泣き出したまふまふさんが落ち着いてから、まふまふさんと私はるすさんの部屋をお暇した。

片足をかばって歩く私のスピードに合わせるのはもどかしいはずなのに、まふまふさんは何も言わない。ただ手を貸して、横をゆっくり歩いてくれている。

「…まふまふさん。ひとつだけ質問していいですか？」

ふわり、天使みたいな金髪が揺れて目が合う。

まだこの部隊に入ってそんなに時間も経っていないけど、やっぱりこう、関わった時間が長いまふまふさんは一番信頼できて。

『人を信じる』場数をあまり踏んでこなかった私からしたら、もう一番好きだし安心できる先輩だから。

面倒なやつだなって思われることも全部全部承知で、聞いてみたいことがあった。

「私に記憶を見せたこと、本当は後悔してるんじゃないですか？」

まふまふさんはあからさまに困ったような顔をした。

…卑怯だな、私。こうゆう難しいこと問いかけたらまふまふさんの頭の中全部私のことだけになるんじゃないかって計算して言った。

別に、まふまふさんに恋愛感情があるわけじゃない。でも、このまま部屋に帰ってバイバイするのがなんとなく寂しくてこんなことしてしまった。

まふまふさんが口を開きかけたけど、私はくすくす笑って誤魔化した。

「冗談です。それなりの覚悟で見せてくださったことくらいわかってますよ！」

そう言ってまふまふさんの手を離すと、まふまふさんはさらに困ったような顔をした。

少し、悲しそう。なんでだろ。

ま「…明日は訓練ないし、もう少し遊ぶ？」

きゅ、と優しく握られた掌が熱い。

ま「なんでそんな泣きそうな目するの。僕のヒーローは本当に素直じゃないな。」

まふまふさん。

まふまふさん。

「気を遣わせたいわけじゃないんです。」

まふまふさん、

「ただ、天月のことがあって…ここで一番信頼してるまふまふさんまでいなくなったらどうしようって不安が、どうしても消えなくて。」

まふまふさん。

「もう少し隣にいてください。」

言い切ると、まふまふさんが乱暴に頭を撫でてくる。

だめだ。こんな弱虫じゃなかったのにな。でもなんかまふまふさんといると弱虫になっちゃうんだよ。辛くて、逃げ場を求めちゃうんだよ。

ま「最初あんなに感じ悪かったのに僕のこと一番信じてくれてるなんて、本当に信じられる人いなかったんだな…。」

たぶん、心の声なんだろうけど。口に出てますよまふまふさん。

ま「ねぇ、ちょっと外の空気吸おうか。」

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