ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１０６ ページ13

ご飯が運ばれてきて、ふと口を押さえた。

気持ち悪い。

でも今食べないと、うらたさんや坂田さんに絶対怒られるしめんどくさいことになる。

頑張って平気なふりをしないと。

しない、と。

う「ストップ。」

箸で白米をつまみ口に運ぼうとしていると、その手をうらたさんがつかんだ。

う「拒食反応…顔色も悪い。」

私に箸を置かせると、うらたさんはじっと目を覗き込んできた。

う「坂田、ちょっと俺とヴァンプふたりにしてくれない？」

こわい。

うらたさんから発せられてる雰囲気がこわい。

坂田先輩もなんか言いたげに口を開いたけれど、すぐに自分の分のご飯だけロボットに預けて部屋を出て行った。

うらたさんは私の頭に手を添えて、ずっと撫でるように指を滑らせる。

思わずぎゅっと目を瞑ると、しゅるっと眼帯の紐が解かれた。

アシンメトリーの前髪が持ち上げられて、両目がうらたさんとしっかり合う。

う「怒ってみて。」

真面目な顔して何言ってんだこいつ。

「はぁ？」

う「怒ってみてって。」

有無を言わせない感じでうらたさんは言う。

そんな、何もないのに怒るとか普通に無理…。

う「ここにくる前ご飯は食べてた？思いっきり怒ったり泣いたりしたことある？」

『誰かに本気になったこと、ないくせに。』

また。

う「ねぇ、今何思い出したの。」

医者のスイッチ入ってるうらたさんは鋭い。

何もかもがバレてしまいそう。

「ごはん、あんま食べてなかったです。思いっきりキレたりは、あんまなかったです。」

もうこれ以上、見透かさないでほしくてぱっぱと答える。

うらたさんはしばらく私の目を見つめていたけど、私が嘘をついてないとわかったからか突然誰かにメッセージを送り始めた。

う「…まふ呼んだ。まふがいれば少しは怖くないでしょ。
ごめんだけど、これからヴァンプについて少し聞かせてもらうよ。自動施術師として今のヴァンプはそのまま置いておけない。」

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