ヒーローがログインしました！season2【歌い手】

ヒロイン！７６ ページ31

始末書は、案外早く出来上がった。

ぐたり、ベッドに倒れ混んでいたその時、コンコンコンっと部屋がノックされた。

遠慮がちに部屋に入ってきたのは、姫さんだった。

姫「…あんたが喋ったの？」

じとり、お化けみたいな雰囲気をまとって立っている。

恨みがましい目を私に向けて。

副業は地下アイドルらしいけど、アイドルのあの字もないレベルの顔してるよ姫さん。

「なんの、ことですか？」

まぁ大方私を屋上から突き落としたことだと思うけど、一応困ったように聞いてみる。

姫さんは一瞬怪訝な顔をしたけどまた私を睨みつけた。

姫「突き落としたこと、あんたが喋ったんでしょって言ってるの。屋上に監視カメラなんてないんだから、あんたが話さなきゃ分からないでしょ。」

いやお前のこと庇ったせいで反省させられてんだよ！！！ねぇ！！！

なんて言えるはずもないや。

「私は言ってませんよ。…ただ、歌詞太郎さんが最近監視カメラを増やしたと誰かから聞いたような。」

そらるさんでしたっけ、うらたさんでしたっけ…と悩んだふりをすると、姫さんは真っ青になった。

そうだよね。

私がただ上にチクっただけなら言い逃れできるけど、監視カメラであのシーンがとられてたら言い逃れできないもんね？

…にしても、ここの部屋入ってきて開口一番がチクられたかの確認なんて、姫さんほんと礼儀がなってない。

姫さん、あなた私にしたことちゃんとわかってるんですか？

あなた、わたしに恨まれてるとか思わないんですか？

この眼帯、気になったりしないんですか？

それとも、そんなに仕返しして欲しいんですか？

もちろん私から手を出したりなんかしない。だって後がめんどくさいし、こんなやつなんかに構いたくない。

姫「はぁっ、ほんとむかつく。なんなのこのブス。だいたい髪の毛の色も気にくわないのよ。それに、なぁにその眼帯。怪我アピール？きもいんだよ。」

姫さんは気を取り直したかのように罵ってくるけど、私は変わらず微笑むだけ。

せいぜいたくさん暴言吐いて、糠に釘打って暖簾に腕押しでる感覚でも味わってくださいよ。

私は、お前に傷つけられた傷が一生残るんだ。

姫さんにとっては些細なことで、時間とともに忘れられることなのかもしれないけど、私は鏡を見るたびに思い出して痛くなるんだよ。

姫「あの戦いぶり、もしかしてあなたバケモノなんじゃないの？屋上から落ちても死ななかったみたいだし」

バケモノ、か。

ずきりと心が痛んだ。

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