ヒーローがログインしました！season2【歌い手】

ヒロイン！６１ ページ15

体力なんて、そらるさんたちのところへ行き時にすでに尽きかけていた。

それでも、なぜか体は動く。

右へ、上へ、左へ、下へ。

肺が痛くて、喉もカラカラで苦しいけど。

自分でもどこからこんな力が湧いてるのかと思うくらい、身体が軽い。

特別部隊の人に何か思い入れがあるかと聞かれたら、それは今でもNOだ。

ただ少し、顔を知っている、めんどくさい人たちとしか思っている。

ここにきたのだって、罪悪感があったからだ。

覚悟すらなくこんなとこにきてしまった私が、覚悟ある人たちを犠牲にして生き延びるなんて。

E「自分に危害を加えてくるような女がいる軍のために頑張るなんて、おかしいよ」

右足に触られ麻痺してしまったので鎌を地面に突き立てて遠心力を使って飛び上がりざまに回し蹴りを食らわす。

「…イギリス軍に入ったって、同じことでしょう。」

銃弾が何発かかすってしまったところが熱い。

隙を見て思いっきり鎌を振ると、相手がよろけた。

…いける。

とどめを、と思ってはをつきたてようと飛び上がったその時だった。

視界の右側に、黒い何かが、みえた。

「…ぇ」

間一髪顔をそらすけど、目のあたりに激痛とありえないくらいの熱量が湧く。

顔半分、溶けてしまったんじゃないかってくらいの、痛み。

受け身すら取れず、地面に叩きつけられる。

目の前がチカチカとスパークしてから、背筋あたりが急速に冷たくなって、吐き気がした。

…立ち上がれない。

右目も、開けられない。

てゆーか、右側の顔が言うこと聞かない。

もう、ここまでなのかな。あんだけ威勢良く出てきたけど、もう。

そう思ったけど、なかなかトドメがこない。

E「ねぇ、なにしてくれてるの？」

静寂を、声が切り裂く。

この声は、絶対に敵のEveとかいうやつだ。

起き上がれないから確認はできないけど、かなり苛立った声をしていた。

う「ヴァンプッ」

私が死んだと思ってたのかなんなのか、多少雑に抱き起すうらたさん。

痛い痛い、やめてくれ。

てか危ないから出てこないでよ。

「…るすさんに、呼んだら力使うように言ってください。私は、まだ、」

近くに落ちていた大鎌に手を伸ばすけど、掴めない。

うらたさんのため息が聞こえた。

う「もういい、ヴァンプ。もう、大丈夫だから。もう、戦わなくていい。」

きゅ、と手を繋がれているのがみえた。

でも、感覚は、もうなかった。

E「やっぱ最初に殺しとくべきだった、クソ女。」

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