ヒーローがログインしました！season2【歌い手】

ヒロイン！５７ ページ11

「まふまふさん、二つだけ聞かせてください。」

気まずい空気が流れている中、私は切り出した。

欲しい答えなんて返ってこないかも知れない。でも、この人にどうしても聞いてみたいと思った。

「あなたが戦う理由って、なんですか？」

まふまふさんは、こいつは何を言ってるんだ、みたいな顔でこっちをみた。

その顔は、問いに関する答えがないというよりも、突然そんな問いをした私の心中を察しかねているという顔だった。

すこし間があった後、まふまふさんはぽつりぽつりと話し出した。

ま「僕だって敵を殺すことに抵抗がないわけじゃない。それでも戦えるのは、そらるさんが言ってくれたことを信じてるから。」

私を逃すと言って、あの場においてきてしまったそらるさん。

ま「電子戦争って、自分の力で生き抜いているように感じるかもしれないけど、違う。
僕らの代わりに死んでくれた味方がいて、僕らの代わりに手を汚してくれた味方がいて、僕らの代わりに負傷してくれた味方がいて…そんな風にできてる。」

自分たちの代わりに、死んでくれた味方。

その意味を一瞬図りかねたが、すぐにわかった。

もしかしたら、自分がそこにいて死んでいたかもしれない。

でも、その死んだ味方が自分より先にそこにいてくれたから、自分はそこへ行かずまだ生きている。

もしかしたらありえた可能性を、たくさんの味方が潰してくれてる。

そういうことだ。

ま「僕らはたくさんの命を犠牲にした上でここに立ってられる。だから、その犠牲にした命を無駄にすることはできない。あのひと、そう言ったんだ。」

…後悔、した。

私は覚悟がないって甘えを振りかざして、そうゆう味方の犠牲を見ないふりをしていた。

ひとなんか殺せない、戦いたくないってわがままを言って。

味方の犠牲を、無駄にしてた。

そのことに気がついた今、ふと足の痛みも気にならなくなった。

「じゃあ二つ目の質問です。…まふまふさんは、日本軍特別部隊のことが、好きですか？」

まふまふさんはノータイムで頷いた。

それを見てわたしは立ち上がった。

まふまふさんに背を向けて。

「…それは、よかった。」

ヒロイン！５８ そらるside→←ヒロイン！５６ そらるside

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す