＊癒えないトラウマ８ ページ23
吉良｢っ？！A…？｣
雨がどんどん勢いを増して行き、暫く止みそうにない…視界は涙で覆われ、目の前にはヒロトさんの表情が一瞬にして動揺へと変化している様子が薄ら見える。
普段つり上がっている眉を八の字にさせ、不安そうに私の涙を拭き取る。
吉良｢ほら、ここに来いよ。｣
ふんわりとした柔らかな口調で私に向けて手を広げてくれる彼に私は迷いもなく、彼の胸にふわっと飛び込む。
｢すみません…ヒロトさんがあまりにも優しくて…つい。｣
吉良｢優しい？俺が？｣
無言で首を縦に振ると、彼は小さく目を見開いた。
｢…私のお父さんは、優しい言葉なんてかけられたことがないんです。｣
吉良｢…そう、なのか？｣
少し頭で考え、私は昔の出来事を彼に話すことにした。
｢…小さい頃、お父さんに褒められたくて洗い物をしていたら、あやまってお父さんの大事なコップを割ってしまって、酷く怒られたことがトラウマで…。｣
吉良｢…酷ぇなお前の親父。そんなことで怒るのかよ。最悪だな。｣
｢…私のお父さんは、昔から暴力的で何か気に入らないところがあるとすぐ私に暴力を振るわれて、酷い時は家の奥にある小さな部屋に閉じ込められたり…。｣
ポツリ…ポツリと話す私を励ますように、リズムよく私の背中をポンポンと優しく撫でてくれる。
その仕草が、とても心地良くて…思わず酔いしれてしまいそうになる。
吉良｢Aの親父が…お前に暴力振るってるって、マジなのか？｣
｢……はい。私が男性恐怖症になった一番の原因はお父さんの暴力なんです。お父さんは…私のことが嫌いで、いつも役立たずだって言われて…すみません、泣いてばかりで迷惑ですよね。｣
吉良｢そんなことねぇよ。｣
背中を撫でていた手を、私の頭に乗せ大きな手で撫でてくれた。
吉良｢ありがとうな、A。話してくれて。｣
優しく目を細め、私に微笑んでくれる彼の笑顔に私も小さく彼に微笑む。
｢…こちらこそ、話を聞いてくれて、ありがとうございます…お陰で心の重荷が軽くなったような気がします。｣
吉良｢そうか…なら良かった。お前の過去が聞けて俺も安心したぜ。…Aから話してくれるのを、待ってたんだ、ずっと。｣
止まっていた涙が、彼の言葉によって再び溢れ出す。そしていつしか、彼の暖かい胸の中で静かに…眠りについた。
…その頃、ヒロトさんは一人、心の中でとてつもなく猛炎のように激しい怒りに舞い上がっていたことに、私は気付いていなかった。
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アニオタ - 初めまして、作品読ませて頂いてます。ヒロト凄い夢主ちゃんにベタ惚れですね。読んでて微笑ましいし和みます。これからもヒロトが変わらず夢主ちゃんに愛情を注いでいく様子を温かい目で見守らせてください。これからも更新頑張ってください。続きを楽しみにしてます。 (2020年8月30日 11時) (
レス) id: 4bb6e8f6df (このIDを非表示/違反報告)
ふわもこ(プロフ) - 星もなかさん» 返信遅くなって申し訳ございません…わざわざコメントして下さってありがとうございます！体調管理に気をつけて頑張っていきたいと思います(^^♪ (2020年8月28日 13時) (レス) id: 792f1a5f44 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜 - おい…………………………………これ完全に忘れてるだろ（笑） (2020年8月28日 8時) (レス) id: 0dcd5b296d (このIDを非表示/違反報告)
星もなか(プロフ) - 初めまして、ヒロトかっこよすぎませんか？！もう惚れました！これからもお身体に気をつけて頑張ってください！応援しています！ (2020年8月19日 22時) (レス) id: 70c50fe7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ふわもこ(プロフ) - となりの青華さん» コメントありがとうございます！とても励みになります…！今後も楽しい小説が作れるように頑張ります(^^♪ (2020年7月12日 2時) (レス) id: 792f1a5f44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわもこ | 作成日時：2019年11月11日 23時
