深愛34 ページ34
吉良「…とりあえず今は、これくらいにしておいてやるよ。」
そう小さく呟いて数秒後、まぶたから何かが離れていくような気配を感じ取り私はゆっくりと閉じていた目を開き始めた。
視界に写った彼は、満足そうな笑みを浮かべこっちを見ていた。
「あの…これくらい、とは?」
吉良「今はまだ気にしなくていい。…いずれこの言葉の意味が分かるからよ。」
「……?」
よく分からないが、何となく深入りしないで欲しいと言っているように聞こえ、この事は深く問い詰めない事にした。
それにしても…さっきは、何をしてたんだろう…?
まぁ、いっか。
吉良「んじゃ、この部屋から出るか。」
「そうですね。」
私達はこの部屋から離れ、プラネタリウムの出口に出た。
気づけば外はもう夕焼けに変わっていて奥の方は夜へと変わろうとしている空が見えた。人通りも初めの時よりも徐々に減っていた。
吉良「電車の時間もあるし、そろそろ駅の方へ戻るか。」
吉良さんの言葉に賛成し、先程の駅へと戻った。
階段を登り、止まっていた電車に乗り込んだ。
行きしより人は半分くらい少なくなり席はところどころ空いていた。
奥の二人で座れる席を見つけ、そこへ移動し腰を下ろした。
…しかし、電車が動き始めて間もない頃、私は一人でショートしていた。
なぜなら…。
吉良「…すぅ。…すぅ。」
吉良さんが、何の前触れもなく私の方に寄りかかって気持ち良さそうに寝始めたからです…!
私の頭の上に彼が乗っかっている…という状況だ。
あぁ…今の私はきっと苺のように顔が赤くなってるんだろうな…。
吉良さんと出会ってから、今まで経験したことのない感情ばかりが生まれている。
…これまでの私は、無表情でただただ息をしているだけの波乱万丈な人生を歩んできた。
気分次第で親から殴られ、罵声も浴びられまともな家庭環境ではないと小さい頃から自覚していた。
そんな環境で育った私は、愛情も温もりも知らない人間になっていた。
優しくされた事なんてないし、そんな言葉もかけられたこともない。
希望なんてとっくに捨てていた私の目はいつしか虚ろで冥土から帰ってきた死人のような瞳に変わっていった。
この先の未来とか夢なんてもう、心底どうでも良かった。
生きてても何の意味もないし、居なくなったとしても悲しむ人は誰一人存在しない。
… 私なんて何も無い、何も無い筈なのに。
吉良さんといる時だけ、ほんの少しの希望が湧いてきてしまうのは…何でかな。
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ふわもこ(プロフ) - ゆーみやンさん» コメントありがとうございます!最後までこの小説を読んで下さってありがとうございます!今後も楽しいお話が作れるように頑張ります♪誠に感謝です!(^^♪ (2019年11月12日 7時) (レス) id: 5db886f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふわもこ(プロフ) - あかりさん» 返信遅くなって申し訳ございません…!2回もコメント下さってありがとうございます!(^^♪ (2019年11月12日 6時) (レス) id: 5db886f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン(プロフ) - 完結おめでとうございます!!! ヒロトむっちゃかっこよかったです……!ドキドキしました!! 短編集も楽しみにしています!お疲れ様でした( *´艸`) (2019年11月10日 22時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - ヒロト頑張って (2019年10月16日 7時) (レス) id: 8cd13c0c45 (このIDを非表示/違反報告)
ふわもこ(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます!素敵なお言葉が貰えてとても嬉しいです…!今後も楽しい小説が作れるように頑張ります(^^♪ (2019年10月15日 21時) (レス) id: 5db886f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふわもこ | 作成日時:2019年6月25日 19時